KORANIKATARU

子らに語る時々日記

キリギリスにだってできやしない

夏である。 頭のなかの小見出しはいま取り組む仕事で占められるが、そこに旅情が紛れ込む。 気温上がれば上がるほど旅情がはしゃいで思いのなかを飛び回る。 日差し強く照りつける日曜の午後。 ああ、と旅の空想にひとときひたる。 今年はどこへも行かない。…

呼応し合ってこその好循環

子どもさんの話になった。 事業主夫妻にはすでに嫁いだ娘さんが二人いるとのことだった。 教育には力を入れた。 中学受験をさせ二人とも同じ中学に入り、大学もそれぞれ一流と呼ばれるところに進んだ。 だから縁があった。 勉強させたおかげでいい出会いに恵…

ひれ伏すにも値しない

激しく雨降り稲光が一帯を白く照らす金曜の夜、わたしは自室で一人映画を観た。 セットしたDVDは『スイス・アーミー・マン』 登場人物は二人。 うち一人は死体。 漫才で言うところのボケ役を死体が担って、死体がコミカルに描かれる。 無人島を舞台にこの死…

一人に安住し憩った

仕事が早く片付いたのでさっさと帰ることにした。 夕方を前に帰宅するなど滅多にない。 時間があれば過ごし方は幾通りもある。 ジムに映画に一杯飲み屋にサウナにマッサージ。 プールで泳ぐのでもいい。 が、このときは家に帰るという考えだけがまっすぐ頭に…

男子の文法を身につける

蒸し暑い夜、空調効かせた部屋で下の息子と二人で過ごす。 食べ物の話となって夏はカレーだろうと意見が一致した。 CoCo壱番屋のカレーが美味しい。 最近その味に魅了され足繁く通う者として喧伝するが、彼の方が早くに常連であることが分かった。 互いお気…

払いを求められたらかなり高額

JR環状線が動いておらず地下鉄を使う。 谷町九丁目にて乗り換え天王寺で下車。 割烹天田はそこから歩いて5分の場所にあった。 グーグルマップを片手に見ながら未知の路地へと歩を進める。 まるで秘境。 高い城壁に囲まれ入り組んだ迷路を行くような感があり…

背丈の伸びと同じようなもの

ジムで走って和らかの湯で憩い炭酸水を飲んで寝る。 これがここ一年を通じての標準的な夜の過ごし方である。 標準仕様の夜以外には二種あって、家飲みか外飲み。 外飲みはもっぱら友人らと連れ立つ。 歳を取れば取るほどいろいろな人と場を共にするのだろう…

夕暮れの空に目を奪われ蜂屋の餃子に頬落ちた

炭で焼かれたばかりの鰻が二尾。 それが視野に入って、いったん通り過ぎたが戻って買い求めた。 ただでさえ希少となっているのに今季歴史的不漁に見舞われた。 そのうち鰻は幻の食材となる。 目が合ったのもなにかの縁。 夕飯への飛び入り参加となるが、鰻で…

決めのポーズの行方を見守る

あるメロディが唐突に頭に浮かんで懐かしくYouTubeで探し家内に送った。 『きかんしゃトーマス』のテーマである。 www.youtube.com ある時期、長男が最も好んだサウンドだ。 彼が言葉を発し始める前のことである。 その音楽がはじまると彼はコミカルにカラダ…

孤独と無縁のひとり酒

ごくごく若い頃のこと。 週末土曜、行くところもなく連れ立つ相手もなく、やむなく一人で過ごすという時期があった。 ひとり暮らしであり身寄りもない。 孤独は心身を蝕む。 もちろん状況を打開しようとそれなりに悪あがきはしてみた。 土曜の朝に意中の人に…

言葉が端役になる時代

代わり映えしないような毎日であっても目を凝らせば濃淡があって、「濃」の部分をわたしは日記に書き、家内は二万語の言葉に置き換える。 意識のなか痕跡を残した「濃」も書き留めなければ記憶の藻屑となって地の底に堆積するだけとなる。 だから日記は「濃…

歓喜は続くどこまでも

火曜あたりから悪寒おさまらず咳も出て体調思わしくない。 それでも休むわけにはいかず、各地予定通り出かけて業務をこなした。 水曜は朝一番に西宮で業務があった以外、出かける用事がなかった。 それで事務所にこもって書類業務に勤しんだ。 終日の雨模様…

人間の分かれ目

ごくたまに公園のベンチに座ってひととき過ごす。 日曜の夜、風が気持ちよく、いつまでもこんな風に当たっていたい、そう思った。 それで駅を出てコンビニで缶ビールを買い、自宅前の公園のベンチに腰を下ろした。 近隣の方々が日をおかず熱心に掃除するので…

沁み渡る平穏を味わいつつ

電車が動き出す気配は全くなかった。 しびれ切らしたのだろう。 梅田で待機中の息子からSOSが入った。 午後2時半、仕事を切り上げクルマ走らせ梅田に向かった。 クルマで10分程の距離のはずが、車両ひしめき合って進まない。 梅田は梅田でもよりにもよって…

拝んで祈って命乞いする

地面が揺れると為す術がない。 週明け月曜の朝、肩慣らし程度に仕事し始めたところであった。 無慈悲な揺れに襲われて、こわばった。 カラダ鍛えていようが所詮は水風船のようなもの。 建物が倒壊すれば抗えるはずがない。 自らの無力をリアルに思い知らされ…