KORAIGAINIMOKATARU

子らに語る時々日記【抜粋】

福効医院、そこに行けば大事にされる

天神橋筋商店街は日本一長いことで知られるが、南端のファルメディコ株式会社を始点とし天満市場を経て、北端の福効医院までをまっすぐ直線で結ぶ。

この商店街は常に大阪的情緒と季節感にあふれ、数あるオーサカ・ストリートのうち最高峰の動脈的存在でもある。

昨日、南北の要の一翼を為す福効医院に立ち寄った。

待合室に座っていた時間はほんの数分程度であったが、その僅かな時間であってさえ、この医院の真髄を垣間みるには十分な時間であった。

スタッフ全員がキビキビと職務を果たしている。
活発元気な声を交わし合い、来院者に対する気遣いあふれる声かけが絶えることがない。
チーム福効はいつだって精彩に富み、職場を統べる者にとりお手本とすべき材料にあふれている。

腕に包帯を巻いた少年が母親に伴われ待合室で診察の順番を待っている。
問診票への記入の説明があって、そのやりとりを聞くともなしに聞く。
母親はどうやら中国系の方のようだ。

整形外科に来たつもりが内科である福効医院を間違って訪れたということが次第に分かってくる。

このような場合、大阪ではにべもない対応が見られがちだが、ここ福効医院ではあり得ない。

スタッフが片膝つき来院者の目線になって、地図で何度も丁寧に整形外科の所在を説明する。

胸が温まるとは、このような光景のことをいう。
このように人は他の人に良くしようとするものなのだ。

そして、目の前ではいま診察を終えたばかりのおばあさんをスタッフが介助していて、医院の入口まで付き添うのだろうかと見ていると、3階からエレベータで1階までお連れする様子である。

私の胸はさらに温かとなった。
家族のようなあなたを診ます。福効医院の理念を目の当たりにしたようなものである。

昨日、大阪環状線で見た寒々とした光景が否応なく蘇る。
弁天町で腰の曲がったおばあさんが乗車してきたのだが、何とも疲弊した様子で、バッグを手すりに預け、カラダを支え何とか立っている。
電車の揺れのせいではない、僅かにカラダが震えている。
電車の中で立つという何でもないことがおばあさんにとっては難儀なことであるように見える。

「ほれ、そこのおかあさん、ここ座りなはれ」と先を争うように席を譲る陽性のナニワ民度が現われることもあるが、このときは陰性のそれが漂っていた。
若い兄ちゃん姉ちゃんが優先座席に陣取り、一人の若造など荷物置いて一人分のスペースを塞いでいる。
悲しいことだが、このような図々しい一面も時折目に入るのがオーサカ風土の一つなのである。

いまやいたわりの心はどこにでもあるものではなくなった。
福効医院のような心こもった接遇を目にし、そのようでないのが当たり前となっていくオーサカの実相に寒気を覚える。

院長は往診のため不在で、カネちゃんが対応してくれる。
お待ちの患者さんが大勢いて、診察に臨むカネちゃんの真剣で気の入ったような空気も伝わってくるので、長居は無用とさっさと用件を済ませて席を立った。

外に出ると、春を思わせる陽気だ。

カラダの具合があちこち悪くなって精神的にも心細くなる老境の方にとって、家族のようにあなたを診ますという福効医院の存在は地域において最重要なものとなった当然だろう。

年2回行われる福効医院の歩こう会だが次回は4月6日土曜に実施されるという。
待合室に飾ってある過去の歩こう会のスナップ写真で一目瞭然。

天六のいんちょが果たそうとする使命と実際の貢献の形がそこにくっきりと表れている。
たいへんに素晴らしい仕事をされている、そう心から敬意を表したい。