KORANIKATARU

子らに語る時々日記

仕事終え、場面転じて父となる。

連休明けの火曜日、ひっそり影を潜めていた仕事群が一気目まぐるしくうねって、その動きの不意の激しさに歩調合わせるだけで精一杯、あっという間に時間が過ぎた。

すっかり日は落ちようやく後片付け終え嵐の後の現場を引き上げることができる。

どこか遠く、のどかな田舎駅に減速しながら入っていく鈍行列車みたいにクルマをゆるりと走らせ、私は二男を迎える一人の父となる。

今夜もiPhoneにダウンロードし曲を用意した。

先日はU2 「Songs of Innocence」であったが、趣きをガラリと変える。

まずはつかみにLady Antebellum の「Just a Kiss」と「Need you now」。

視線もうつろで口半開き、そんな恍惚へと優しく柔らかく導いてくれるラブソングではあるが、ラブソングは何も男女間だけで響かせ合うものではない。

父子であっても、互いに交わすエッセンスは同じこと。

もちろん父であるから口はキリリ真一文字に閉じ、ハンドル握るので両のまなこをくっきりこじ開けつつ、先の導入の二曲に続けて優しく柔らかなナンバーを二男に紹介する。

Bangles の「Eternal Flame」、Debbie Gibson の「Lost in your Eyes」、Vanessa Carlton の「A Thousand Miles」といったこの先何十年と世界のどこかで幾度も流れ優しく柔らかく人を慰撫し続けるであろう定番3つが、先の二曲の後の打順でiPhoneのなか出番待ち構えている。

それら5曲にじんわり聴き入る阪神高速神戸線の道中となる。

日中とは様変わり。

時間はゆっくりと流れることだろう。

元気よく現れた二男は、曲調が心地よかったのだろう、まもなく寝息を立て始めた。

音量を落とし、寝息とともにクルマを走らせた。