KORANIKATARU

子らに語る時々日記

ガッツポーズはしばらく取っておくことにしよう。


エンジンをかけるとナビが言う。
今日はガッツポーズの日です。

そうか、4月11日はガッツポーズなのか。
出だしから何とも縁起がいい。

土曜午前、ツバメ君の運転で豊中を訪れる。
そこで聞いた。

豊中や吹田のいくつかの地域は、今を遡ること400年前に開発された特別な土地なのだという。
江戸時代に街道として整備され、宿場町として栄えた。

そして、その当時の集落が一定の閉鎖性を保ちつつ代々受け継がれ、いまも実質的に現存している。
そのような地域を称して「村」と話者は語るが、一般的な村を想像するよりは「名家の集合体」とイメージするのが正しいのであろう。

関西の代表的な住宅街としては阪神間や生駒周辺が思い浮かぶが、所詮はごく最近鉄道会社が開発したような地域に過ぎない。
川西の豪族が江戸時代に開墾した北摂地域とは由緒の奥深さが数段異なる。

だからそれら名家は、そこら普通のお金持ちとは素性も異なり資産も桁違い。
それなのに、身持ちが堅いので平気で軽自動車に乗るという。

軽自動車に乗るおじさんおばさんにはご用心。決して侮ってはならない。
その人は、資産数百億の名家の子孫末裔かもしれないのだ。

並外れた資産家が普通のなりして軽に乗る町、豊中
だからこの通りはロマンティック街道と言うのだろうね、とツバメ君と話しつつ、豊中を後にした。


帰途、家内にチョコを買うため、堂島アバンザ前でツバメ君を待たせ地下に潜ってレオニダスに向かう。

注文した品を受け取りついでにツバメ君にも一品持たせることにした。
車中待つツバメ君に、これ彼女にあげて、とチョコの紙袋を渡す。

引き続き花屋に向かって、家内に贈るブーケを受け取る。
結婚生活ってたいへんだ、ツバメ君はそう思ったかもしれない。

なんなら、チョコは母ちゃんにあげればいい。


ツバメ君を降ろして、帰宅する。
途中、2号線での信号待ちの際、気色の悪い光景に出くわし気分が急降下する。

どこかの選挙事務所前。
4人の女性が並び立ち、動作を合わせる。

笑顔浮かべて左に向かって3回手を振り、今度は右。
それが終わると、4人同時に深くお辞儀し、さらにお辞儀し、お辞儀も3回繰り返す。

その動きをずっと繰り返している。

おいおいおいおい、勘弁してくれないか。
これが選挙活動と言えるのか。
道路走ってそれを目にして一票入れるとでも思っているのだろうか。

単調かつ無機的な動きほど人の心を冷やすものはないと知るべきであろう。ああ、寒い。


家に到着すると、なんだか騒々しい。

近くで事故があったようだ。
クルマを停め、現場に向かう。

高齢者の運転するクルマが電柱に激突していた。
ブレーキ跡や何かを避けたような痕跡はない。
まっすぐ電柱に突っ込んだとしか考えられない。
車体はひどくひしゃげている。

意識の空白、そのようなものがあったのだろう。
気付いた時にはハンドル操作を誤っていた。
そういうことに違いない。

現場は公園の目の前であり、小さな子らが駆けまわっている場所である。
肝冷えるとはこういうことを言う。

運転については各々退き時を知らねばならないということであろう。


食事の用意を待つ間、二男とソファに寝そべり学校の話を聞く。
数学や国語の先生は私たちがよく知る人物であった。
中1からそのような先生にあたるなんて、なんとレベルの高いことであろう。

英語の授業が楽しくて仕方ないという。
推して知るべし、全科目最強の教師らが6年に渡ってお伴してくれる。
なんとも言えない安心感のようなものを覚えつつ、二男に豊中の来歴について語った。

今夜はしゃぶしゃぶ。
安曇野ワイナリーの白を家内と分け、家族3人で食事を始めた。

前日、友達を家に引き連れ阪神広島戦に臨もうとするも雨で中止を宣告されうなだれた長男は気を取り直し今夜はラグビーの練習に出かけている。

この日曜から第18回兵庫県春季大会が幕を開ける。
最上級生となって挑むこの大会には期するものがあるようだ。

大会は5週に渡るが予定やりくりし全試合を観戦するつもりである。
小学生の頃から試合に出続けた長男は、それだけで我が家のヒーロー。

今年で中3、最終学年。
我らが自画自賛するヒーローの活躍もまもなく見納めとなる。

ガッツポーズは、ラストゲームの時までしばらく取っておくことにしよう。

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