KORANIKATARU

子らに語る時々日記

他人なんて天気のようなもの


炎暑のなか終日吹田をまわる。

所々、後藤市長のポスターを見かける。
星光21期、私達の先輩だ。
訪れる先々で、市長は学校の先輩なんですよと話題にしてみる。

市長と面識があるわけではない。
だから、へえそうですか、そうなんですよ、と1分も持たずに話題は潰える。

それにしても暑いですね。
クルマでの移動なので涼しいくせに、参った参ったという表情を作って私は話題を変える。


昼に江坂。
ネットで調べると、マルショウ江坂店の食べログ評価が界隈ではナンバーワンだ。

ツバメ君を伴い、店に入るが満席。
やみつきになると評判の台湾混ぜそばの食券を2枚買って待つこと1分。

4人がけのテーブル席が空いた。
カウンターに座る先客の3人組に対し店員がテーブル席に移動してもらえませんかと頭を下げる。

3人組の一人が不機嫌な顔で、こちらを見る。
私と目が合う。
私が悪いわけではない。
何か文句でも? 目でそう訴えてみる。

目は口ほどにものを言う。

空けてもらったカウンター席に腰掛ける。
斜め前にタンクトップ姿の美形ミセスがいて、混ぜそばを食している。
美形ミセスがチョイスを誤るわけがない。
この店では、なんであれ混ぜそばなのだ。

そして、混ぜそばがやってきた。

ツバメ君同様、少し残して店を出る。
汗が噴き出す。

クルマに乗って冷房を最大出力にして、塩ラーメンにすべきだったかもね、と言う。
ツバメ君は2回頷いた。


吹田市役所から吹田年金事務所を経由して、午後最初に訪問予定の客先へ向かう。

晴れ間が見る見るうちに暗雲に遮られ、遠く聞こえた雷鳴が間近に迫ってくる。
雲を隔てて空が何度も光る。
光の直後地鳴りのような音が響き渡る。
激しく雨も降りだした。

天気は人知の向こう側。
雨が降ったと空に文句つけても仕方ない。

ツバメ君、それと同じことなんだ。
男子は山の神の支配下にあって、そして山の天気はめまぐるしく変化する。

雨の日もあれば晴れの日もあって、時には雷だって落ちるだろう。
それが自然の営み、恵みだくらいに考えて、肩の力を抜いて受け入れるのだよ。

天気を制御できるなど過信すればするほど、ますます天候は悪化する。
先人がしたようにたまにはひれ伏すくらいでちょうどいい。
覚えておくことだ。

ツバメ君は2回頷いた。


昨年、25年以上ぶりで松本亘くんと再会した。
うちの二男が中学受験すると知って、「絶対にすべらない」というお守りを飲み会の際わざわざ持ってきてくれた。

それを携えれば必ず合格する。
連戦連勝記録継続中で、不敗伝説が確固となったアイテムであった。

化学樹脂製品の研究開発において知らぬ人のない亘くん自身が手がけた作であり、その樹脂シートは彼が太鼓判押す通り絶対に滑らないものであった。

実際に効力があって、二男は無事受験を終えることができた。

そして、うちの家族が野球好きだと知って、亘くんが昨日チケットを送ってきてくれた。
亘くんの会社はタイガースの主要スポンサーであり、たまにチケットが手に入るということだった。

届いたチケットを見ると、バックネット裏の4人並びの席。
かなりのお値打ちものである。

家族旅行終え空路戻った後、我が家の夏のイベントのフィナーレがこのタイガース戦となる。

亘くん、ありがとう。


帰宅する。

試験勉強があると長男は部屋にあがって、二男は遠く信州の地にある。
家内と二人、リビングでなんとなくテレビを見る。

見るとはなしに「エイジハラスメント」というドラマを見る。
意外に面白く引き込まれる。

どこであれ人が集まればパワーの争奪戦が始まる。
劣勢に置かれれば、ひどく辛い思いを余儀なくされることもある。

ドラマを見て、かつて組織に属していた頃の不全感をまざまざと思いだす。
あのとき私は若かった。

雨が降って、風が吹いて、この野郎と思う奴などいない。
思い通りになるわけがないことに苛立つなど、よほどの我儘者、尊大不遜にもほどがある。今では心からそう思う。

他人なんて天気のようなもの。

雨であれば雨、嵐であれば嵐、それ以上のものでもそれ以下のものでもなく、ただそれだけのこと、あるがまま。慌てず騒がず。それで水没することもないだろう。

余計なことは考えず、傘さすなり、コート一枚羽織るなりすればいいのであって、この野郎、などと不満垂れて地団駄踏むなど、愚にもつかないことであろう。

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