KORANIKATARU

子らに語る時々日記

一人前となった夜

日曜日、受験時代の友人と張り切ってUSJに向かった二男であったが、この三連休、年間パスは使用不可であった。
やむなく梅田界隈で遊ぶことにした。

ヨドバシカメラで家電を見物し陳列のゲームで遊びスタバでお茶した。
それでも時間は余る。

友人が家族で訪れたことがあるというグリルロンでハンバーグ定食を食べ腹ごしらえし、目につくビルを渉猟探検し、映画を見ようと物色ししかし何も観ず、そうこういしているうち、あっと言う間、夕刻となった。

夕飯を思案する。
せっかくだ豪勢に行こうと話は決まった。
そういえばと、グランフロントの白雲台について切り出したのは二男だった。

いつか家族でグランフロントの白雲台に行こうと二男に話したことがあった。
それで二男の頭に浮かんだのだろう。

少年二人は日曜夕刻、混み合い始めるグランフロント白雲台に突入することになった。
中一の二人客など珍しい。
席に案内してくれた若い店員は二人を見て少し笑っていたという。
微笑ましいような光景が目に浮かぶ。

そして、二人はメニューを見て驚いた。
なんて高いのだ。
数百円でありつける牛丼などとは円のレートが異なる世界。

二人は有り金について胸襟開いて話し合った。
焼肉の盛り合わせのうち、ファミリーセット4,300円には手が届く。
焼肉を食べに来たのであった。
二人は他のものには目もくれず盛り合わせを一人前だけ注文した。

後にも先にもその一皿だけ。
ライスまで求めるには予算不足であった。

男二人、仲良く一人前を分け合った。

帰宅した二男からは焼肉の匂いがした。
二男が白雲台の名刺を私に差し出した。
ここで食べたよ、と得意気に二男は言った。

私と家内は笑いが止まらない。

二男が文字通り「一人前」となった夜であった。

いつかガールフレンドでも連れ彼は再びグランフロント白雲台を訪れることがあるだろう。
そのとき二男は懐かしくこの夜の思い出を語るに違いない。

彼女は食い下がって聞くかもしれない。
ほんとは誰と行ったの?
紛れもなく男子校同士差し向かいの焼肉であったこと、父はここで証言しておこう。

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