KORANIKATARU

子らに語る時々日記

ある晴れた日曜日の記録


安息の日曜、空は晴れ渡っている。
朝の住宅街の静謐に心くつろぐ。

ファミマでカフェラテを2つ買って家に戻る。
家内と朝食を済ませ朝7時過ぎ芦屋へ向かう。

日差しは暖かく風は爽やか。
冷え込む季節はまだ先のこと、当分は秋を満喫できる日が続きそうだ。

JRの駅で降り芦屋川を北に上がって芦屋ロックガーデン登山口を目指す。
阪急の芦屋駅を過ぎれば登山口はもう目と鼻の先だ。

駅周辺は登山者らですでに賑わい始めていた。
絶好の山日和であった。

別ルートから登ってすでに下山した山男らが車座になってビールで乾杯している。
その憩いの場を横目に岩肌の斜面へと家内の後に続く。

家内が駆け上がっていく。
前を行く人をどんどん追い抜いていく。
私はついていくので必死。
四つん這いのていでよじ登る。

小一時間で標高447mの風吹岩。
日曜朝のジョギングとしてちょうどいい行程だ。
この先へ向かうと六甲山頂、有馬へと至るが、今日はこれくらいにしといたろ、で岡本駅方面へと下るルートを取る。

薬科大学を経るコースには人影がない。
細い山道を夫婦で縦列に並んで降りていく。
深々とした静かさと土と緑の匂いに心洗われる。

そこら道端を走るより数段上のリフレッシュ効果が得られること請け合いだ。


山を降りると甲南女子大学附近であった。
今日は学祭のようでキメた男子らの姿がちらほら見える。

もと来た道を引き返し、阪急芦屋駅前を経てJR芦屋へ向かう。
天下の芦屋学園も今日が学園祭のようである。
地上見下ろす山の手へと向かう送迎バスを横目にジャージ姿の夫婦は南へ下る。

新しくできた未来屋書店を見物し大丸一階で子らのためのマルゲリータとパンを買い小山プリンを買う。
財布を持って家内の後ろに続く黒衣に徹する。

そうこうしているうちに11時。
マキノで天ぷらを食べ、昼ビールで乾杯。

いつの間にか風が強く急に冷え込み始めている。
駅前を行く人の様子に目をやる。

さすが芦屋というしかない。
街行く人の身なりと漂う気品が別格だ。

仕上げは竹園のコロッケコーナー。
揚げたてをと家内が店員に言って見繕う。
黒子は財布を持って待機し子らの食費の膨大を肌で知る。


帰宅しまだ正午。
早起きは三文の得と実感する。

昼の長閑な光を感じつつ家で風呂につかっていると、ラグビーの練習を終えた長男がちょうど帰ってきた。
昨日は体調を崩し、しかし、カラダを休めることも不十分に性懲りもなくカラダを酷使するからコンディションが不安定だ。

風呂の順を待つ長男に扉越しカラダを大事にする心掛けをきつく説く。
アスリートだって自営業者だってカラダが資本で、その資源は有限だ。
睡眠、食事、生活のリズムを安定させることではじめてベストパフォーマンスへの道が開ける。

私が風呂を出て入れ違いで長男が入る。
長男のメガネが置いてあったので、それをかけ風呂の扉を開け「烏の行水ではなく15分は湯につかれ」と言い放つ。
湯船につかる長男は少し笑った。


家内は山から戻った後も子らの食事の準備で立ち仕事を続けている。
カツサンドをこしらえマキノで持ち帰った天ぷらを具にして蕎麦の支度をしている。

二男の食欲に目を見張る。
このところ朝に夕にと連日の練習が続く。
今度は合宿まであって甲南中学と合同で練習するという。

唯一の安息日が日曜日。
日曜だけはのんびりできる。
手足のばして心ゆくまで気楽に過ごす二男に顔がほころぶ。


洗濯し引き続いては夕飯の準備。
立ち仕事が続く。
主婦というのはどえらいハードワークだとその真実を垣間見つつソファに寝そべり本を読む。

二男がやってきてケーブルテレビをつけるとロッキー2が放送されていて一緒になってそのまま見入る。
番組表を見ればこの日はロッキーデーであるようでロッキー1からファイナルとなるロッキー6まで一挙放送される。

いつの間にかチラ見だけしていた長男もロッキーに惹き込まれて合流し男子三人でイタリアの種馬を注視することになった。

途中夕飯でロッキーは中断。
四人で鳥鍋を食し今度は家族四人でロッキーを囲む。
深夜に差し掛かる時間となるためDVDのレンタルを約束しロッキー4までで一旦中断としたが、子らは思った以上にロッキーに没入した。
時を経過しても褪せない何かがやはりそこに描かれているかであろう。

サバイバーのアイ・オブ・ザ・タイガーとバーニング・ハートは名曲であるが、その名曲たる所以のバックーボーンにロッキー・バルボアの存在がある。
ロッキーが精神的な葛藤を乗り越え加速感たっぷりにぐんぐん強くなっていく過程がサウンドに凝縮されている。

そしてそこに凝縮された何かは男子誰にとってもいずれ不可欠なものとなる。
憩いの日曜、子らの胸にそれが着地した瞬間を見届けることができた。

男同士で何か語り合うとき、今後手間が省ける。

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