KORANIKATARU

子らに語る時々日記

ある日曜日の記録11月1日


日曜日であっても朝5時起床。
スクールフェアの準備のため朝6時には出発するという二男も起きる。

今日が締切という提出課題に二男は取り組みその横で私はパソコンに向かう。
朝の方がリキが出る、という二男の話を聞きつつメールなどを確認する。
日記も書くが二男と話しつつであって、かつ、家内が起き出せば手を止めなければならないので深まらない。

八木くんから返信があった。
前日相談したばかりの込み入ったような内容に即座助言を返してくれたのだった。
医学的なテクニカルワードの意味が明瞭になり概要が把握できた。
心配るべき要所も明確となった。

ネットに溢れる質問サイトなどよりはるかに頼りになる大阪星光オンラインである。


朝6時を過ぎてファミマでカフェラテを2つ買って戻る。
家内が朝の家事を終え出かける支度が整ったのは7時過ぎ。

7:42の電車でJR芦屋へ向かい芦屋川沿いを北上する。

快晴。
山間の清流から海へと続く芦屋川は小気味よくせせらいで、前方には山の緑が広角で見渡せる。
幾筋ものすじ雲が空の青に長い軌跡を描き遥か上空の大気の流れが目に見えるかのようである。

芦屋ロックガーデンの登山口に着いたのが8:30。
先週よりも格段に人出が多い。
11月1日、1が並ぶと山に登るという慣習でもあるのだろうか、家内とそう話す。

岩肌をよじ登り風吹岩に9:10。
本格的な登りはいったんここまで。
なだらかな道を進んで雨ケ峠に9:50。

麓にあれだけいた人たちは一体どこへいったのだろう。
道中行き過ぎる人は片手で数える程度。
夫婦二人で山道を行くシーンが続く。

雨ケ峠で茂みに身を潜めるイノシシを横目に過ぎたところから無慈悲な上りが始まった。
上方に目をやれば気が滅入る。
下を向き一歩ずつ踏み出していると登山道に覆いかぶさる大木の幹にしたたか頭をぶつけることになった。
痛く、かつ上りはきついが顔には出さず家内の後ろをついていく。

夫婦の口数も減った頃、ようやく一軒茶屋に至り10:35。
そして六甲山頂に10:40到着。

所要時間2時間強。
四十五過ぎの運動不足には骨折りな道のりであった。


上って下る。
一言で言い表すならば登山とはそういうことである。

六甲山頂から有馬までは長く長く下りが続く。
奥深く静まり返った道をいつまでも下る時間を夫婦で過ごす。

時には道幅が広くなり横に並び、細くなれば縦に並ぶ。

下りは楽だ。
会話が弾む。

大半は子らの話。
中学受験やらラグビーやらの思い出。

あまりにも山歩きが楽しく気持ちいいので、子らが小さいときにもここに来るべきであったと時折夫婦して後悔する。

自分たちの話にもなる。
いままで食べたなかで一番おいしかったものについて話し合う。
そう言えば昼間近。
腹が減るのは当然で、そうなれば食が話題の中心となる。

小学校の級友どうしがするような他愛のない話が続き、有馬温泉街に到達したのは正午ちょうどであった。


炭酸せんべいなどみやげを買い、紅葉目的の人出で賑わう温泉街をぶらつく。
お昼をどこで食べようかと物色しつつ老舗名門旅館の神戸牛ステーキの店が目に入る。
時刻は13:00。

入店を伺うが恭しく断られた。

今からだと20分はお待ちいただくことになります。
コンシェルジェが言う。
20分なら待つよ、と答えるが、コンシェルジェは困ったような顔をして、いや20分では済まないかもしれません30分はかかるかもしれません、それにご予約のお客様が優先となりますので。

コンシェルジェの含意をそこで汲みとった。

要はドレスコードのことを言っているのであろう。
4時間も山道を歩いた格好である。
格式高いその料理店の敷居をまたがせるわけにはいかない、コンシェルジェはそう判断したに違いなかった。

土まみれに近いような風体で平気で入店しようとした料簡違いを恥じ入り、我ら下々下層の民はすごすごと引き下がり神戸牛ステーキをあきらめた。

次に向かったのが、猪名野。
結構な店構えであり格式もありそうだ。
また追い払われるのではと汚らしい我が身に萎縮しつつ席の空きを問うと、20分ほどお待ち頂ければご案内できますとのことであった。

捨てる神あれば拾う神あり、を実感する。

やっと骨休めの時間にありつけた。
ビールで乾杯し、牛しゃぶに舌鼓打つ。
聞けばここで食事すると有馬グランドホテルの大浴場のチケットが購入できるという。

14:00。
私たちは有馬グランドホテルの広々として豪勢なお湯場で心ゆくまで憩いの時間を過ごすことができた。
酷使した足腰を金の湯が温かく癒やし、薫り立つ外気に身を晒し入る露天の水風呂が心地よくカラダに喝を入れてくれる。
私は15:00に上がったが、家内を16:00まで待たねばならなかった。
休憩スペースが、すべてはリラックスのためといった風に配慮行き届き、その待ち時間すら堪能できた。


芦屋へ向かう阪急バスの最終が16:40。
日曜なので混み合うに違いない。
芦屋まで45分、登山後のカラダでバスに揺られ立ち続けるのは辛い。
早めに並ぶことにする。

有馬川沿いにあるコンビニでハイボールを買い、バス停前で名物と言われる天ぷらを買う。
16:10、バス停に並ぶ。
二番手の陣取りとなった。

いつのまにやら薄暮が迫る。
日が傾き影は長くそしてバスの列も長くなる。

時刻通りバスがやってきた。
家内と並んでバス後方に座る。
ハイボールを開け、お疲れさんと乾杯。

バスが六甲の山を下っていく。
途中、瀟洒な豪邸が立ち並ぶ奥池を過ぎ、夜景の名所を通る。

素晴らしい一日であった。
また来ようと家内と話す。

まもなく見慣れた景色の場所へとバスが至る。
前方に阪急の高架が見えてくる。

ここを過ぎればJR芦屋まであとほんの少し、そこらで買い物して夜は鍋にでもしようと話が決まった。

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