空港のゲートを出るとそこにまっちゃんの姿があった。
いまなら間に合う。
まっちゃんがそう言って前を行きわたしたちはその後をついていく。
最高時速460kmリニアの最終便が間もなく出発するところだった。
まっちゃんのガイドがあってこそ間に合った。
おかげでわたしたちは全てが早送りとなったかのような、地上疾駆する超絶速度を体感することができた。
その足で地下鉄の乗り方を教わりながらホテルに向かう。
日本と異なり人の動きに譲歩がない。
電車を降りるのもエスカレータに乗るのも一苦労であった。
我れ先に、という強い意志がこの国では必要なのだとのっけから学ぶことになった。
チェックインを終えロビーで待つまっちゃんに連れられ街に出た。
タクシーに乗ったわずか十分程度で、ここでは歩行者よりもクルマが優先と知り、しかしそれでも人は負けておらず走るクルマの間隙縫って飛び出してくるものだから急ブレーキも日常なのだとカラダで覚えることになった。
まっちゃんの奥様と子どもちゃんが先に待ってくれていた。
地元名店のテーブル囲んで北京ダックの歓待を受けたのであったが、限りないホスピタリティに溢れる大阪星光の心に触れたようなものであり家内はいたく感動したようであった。
食べ切れるはずがないほどの料理がテーブルに所狭しと並び、それはそのままもてなしの気持ちがビジュアルになったようなものと言えた。
そして食後の娯楽は上海雑技団。
クラシカルな内容を勝手に想像していたのだが、音楽もダンスもモダンな装いであった。
CGなのかと思わせるような人間離れにこの国の凄みのようなものをビシバシ感じる拍手喝采の時間となった。
まっちゃん家族と別れ地下鉄でホテルに戻る。
ロビーラウンジで家内とモヒートを注文し更けゆく夜、異国でのくつろぎにひたった。
旅先にある喜びと充実感を二人共有ししみじみ味わった。
幸先いい旅の出だし。
残りあと3日、胸膨らむ。