KORANIKATARU

子らに語る時々日記

ある日の帰り道についてただ書いただけの日記

水走から高速に乗った。

夕焼けに染まる西の空に向けクルマを走らせる。

 

快調な走りも束の間。

長田の料金所手前では夥しい数の車両がすし詰めとなっている。

 

ちょうど料金所が本線二車線と長田乗口の二車線の合流地点となっていて、まるで太巻四本をそこで呑み込むようなものであるから、詰まって当然。

 

ひとつの米粒に徹し抗わず、呑まれるがままに任せる。

牛歩の歩みは半時間にも及んだだろうか。

 

すでに空の赤味は失せて暮色漂い、光の主役は地上に移っていた。

 

料金所を過ぎた途端、流れが戻った。

一斉に車列が勢いを増し加速していく。

わたしも遅れまじとアクセルを踏み込んだ。

 

前方へと続く光は束になって一点に収束し、バックミラーに映る後方の光は視界一面に増殖していった。

背景にそびえる山の斜面も家屋の光で彩られている。

 

光を感じるだけの一個の感覚器官となったかのよう。

その渦のなか、人由来の光に身を委ねることが心地よく気持ちが安らいでいった。

 

おのずと頭に家族の顔が思い浮かぶ。

いまこの瞬間、各自それぞれの現在地点が巨大な光の地図のなか目に見える。

 

それぞれが一点を目指しいま移動の最中だ。

 

そしてわたしは最終コーナーに差し掛かった。

湾岸線は夜にひときわ美しい。

 

ここを抜ければ四人集結の地まであと僅かである。