KORANIKATARU

子らに語る時々日記

穏やかな暮らし

家内が肉を焼き、家族で食べる。

 

ハリケーン・カトリーナ級とも目される台風21号が間近に迫って、外は風雨吹き荒れその勢いは増す一方である。

銃撃を受け爆風に晒されるかのようであってまるで戦火のなか。

 

が、家のなかは至って平穏。

肉に舌鼓を打ち、テレビではまもなくゴングが鳴ろうとしている。

 

村田諒太を家族で注視する。

 

試合が始まり、両者見合っていくつかパンチを応酬し合う。

このとき誰もが村田の勝利を確信したのではないだろうか。

 

素人目にもその勝利が見通せるほど、村田は落ち着いていたしパンチが快調に唸っていた。

いつ相手が倒れるか。

焦点はそこに絞られた。

 

各種の肉をききくらべしワインを注ぎ合い、あれやこれやと雑談し、ボクシングに目を移す。

ときおりは外の様子にも目をやる。

 

公園の樹木が風にたわんで、その影は倍増しでのたうっているように見える。

ときおり家内がいたずらっぽく窓を開ける。

 

猛獣のような咆哮あげて風雨が吹き込んでくる。

ドリフのコントでそんなシーンがあったかもしれない。

開けた本人がギャーと叫んで窓を閉める。

 

窓を閉めた途端、家は温かで穏やかな表情を取り戻す。

 

いつのまにか村田が勝利していた。

チャンネルを回すが、どこもかしこも開票速報。

同じような映像ばかりですぐに見飽きた。

 

ボクシングが終わればもうテレビに用はなかった。

 

次の肉が焼きあがり、わたしはテレビを消した。

雨も風も依然猛威をふるっているがどこか遠くに感じられる

 

明日、学校は休み。

そう子らが決め込んでいたからだろうその分一層くつろぎ感が増した。

 

台風が急接近した日曜夜、いたって穏やかな時間が我が家には流れていた。