KORANIKATARU

子らに語る時々日記

好循環の要になる人

こんなに冷え込んだ日は記憶にない。

老人が多い地域だからだろうか、役所のクルマが低温について注意を促しながら町を巡回している。

 

懐の温かみを逃さぬようコートの前を閉じ、マフラーをしっかり巻き直す。

 

そう言えば、と母のことを思い出す。

 

身につけるものすべてが質素で、いたって地味な身なりで一貫しているわたしの母は、どんなに嬉しいことがあっても、自慢の類を一切しない。

 

幸せは、口に出した瞬間に逃げていく。

そう祖母に教えられ、自身が祖母の年齢に近づく今もその教えを守り通している。

 

そんな信条の母であるから、友人らで集まれば、もっぱら話の聞き役に回ることになる。

 

心ある聞き役の周囲に人は絶えない。

母と話せば誰もが表情いきいき饒舌になる。

母はそれが嬉しくて更に聞き役に徹することになる。

ますます人が寄ってくる、つまりは好循環。

 

世には好循環の要になるような人がいる。

皆に好かれて、そこに人の輪ができる。

なかは温かみに満ちている。

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2018年1月12日昼 尼崎 麺舎ヒゲイヌ