KORANIKATARU

子らに語る時々日記

朝食が日常の回復を告げていた

午前10時、場所はガーデンズの丸福珈琲。
家内と向き合いコーヒーを飲む。

 

なぜ家内が保冷バッグを持参していたのか中を見て納得がいった。
千疋屋で買ったというバナナクリームが息を潜めそこで出番を待っていた。

 

しかし朝から混み合う店内で持ち込みのデザートを頬張るなどなかなかできることではない。
第一、はしたない。
良識がブレーキをかけ続け、結局店内でバナナクリームが活躍することはなかった。

 

お茶を飲み終え会計を済ませ、丸福珈琲前のベンチに夫婦で腰掛けた。
そこに到ってようやくわたしたちはその甘美にありつくことができた。
バナナクリームを二人で分ける。
感嘆し合うほどのおいしさであった。

 

東京から家内と二男が戻ったのは昨晩遅くのことであった。
朝食が日常の回復を告げていた。
炊き立てのご飯、大根の味噌汁、スクランブルエッグ、鳥よしのウインナーソーセージ、そして納豆に焼き魚。
ほっと落ち着き、シンプルな食事の美味しさを再認識することになった。

 

iPhone内の画像をプリントする必要があり、わたしと家内はガーデンズに足を運んでいたのであったが、丸福でお茶を飲み写真屋で用事を済ませるうち、あっという間にお昼となった。

 

せっかくの休日である。
寿司でも食べようと意見が一致した。
が、西宮北口界隈のめぼしい店は火曜が定休日。

 

しばらく思案し家内の発案で住吉の大天に向かうことにした。

 

お盆だからだろうか、店の前に列はなくすぐに席に座ることができた。
昼のコースを頼んでビールを注ぎ合う。
ハンドル握る家内はノンアルコールでわたしはキリンラガー。

 

寿司はどこで食べてもたいてい美味いが、美味しい寿司はずば抜けて美味しい。

 

出される一貫一貫、どれも素晴らしく、コースが終わっても板さんおすすめのネタをわたしたちは頼み続けることになった。
ビールはまもなく冷酒に変わった。

 

幸福な昼食を終えその余韻に浸り、買物するためガーデンズへとクルマで戻る。

 

ランダムに流すHDDの音楽が古典名作の朗読に変わった。
懐かしいので夫婦して朗読に耳を傾けた。

 

耳なし芳一や杜子春や蜘蛛の糸、それに走れメロス、セロ弾きのゴーシュ、注文の多い料理店など。
数え上げればキリがない。
幼い息子らをクルマに乗せたときには決まって朗読を流した。

 

今思えば難解な言葉も入り交じる。
が、それら骨ある日本語も彼らの語彙の下地となって国語力を形成するうえで大いに役に立ったと言えるだろう。

 

子らが小さかった頃の空気感が朗読とともによみがえり、車内は思い出話で満ちることになった。

 

買物を終え家に戻る。
休憩がてら家内と韓流の映画『コンフィデンシャル共助』をみた。
そして夕飯。
食べてばかりが、我が家の日常だ。

 

あらめの炒め煮、パリっと焼いた厚揚げ、焼豚、きゅうりとワカメとイカの酢物。
息子にはピーマンのハンバーグ詰めも用意された。
デザートは千疋屋の杏仁豆腐。

 

家内とバロークスを飲みつつ、子の帰りを待つ。
ガーデンズで『ミッション・インポッシブル』を一人観ていた二男がまず先に戻った。

 

録画されたイッテQを三人で見て笑い転げるうち、長男も帰ってきた。
食卓を見ておかずが多すぎると彼は苦笑いしたが、デザートも含め嬉しそうに全部を平らげた。

 

お盆休みも終盤。
15日は墓参りに出かけ、そしてぼちぼち日常に復帰することになる。

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2018年8月14日正午 神戸住吉本町 寿司大天