13:30と16:00。
この日、出番は2つだけ。
前半はツバメ君を伴い場に臨んだ。
果たして好結果。
初顔合わせの方々も含め意気投合。
食事の約束まで話が進んだ。
強力な味方を得て良き縁が更に広がることになる。
後半はピンで赴き半時間もかからずに業務を終えた。
そして晴れて自由の身。
阿倍野界隈で子らの万年筆を選んでいるうち、ほどよい時刻。
やはり足は正宗屋に吸い寄せられた。
初手はマグロとハマチといいだこ煮。
続いて、馬刺し。
更にはキモ、皮、なんこつといった焼鳥勢を召喚し、仕上げにうなぎ蒲焼とにんにく唐揚げ。
キリンラガーを飲みながら返す返す思う。
こうありたいと若い頃に思い描いた理想がこれだった。
大それたことを微塵も考えない根っから卑小な志の者。
ほどよく自由かつ干上がらない程度にお金があって、日暮れ時には好きなものにありつける。
そんな暮らしを夢想したのが、ひもじく無力な学生の頃だった。
当時の全願望がいま叶っているといって過言ではないだろう。
良き伴侶に恵まれた。
子らは元気で茶目っ気たっぷり。
仕事はぼちぼち順調で誰から指図受けるわけでもなく時間も進捗もこちらの裁量で決められる。
毎夜家族で食卓囲み、たまに夫婦で食事にでかけ、いつでも一人で酒屋に寄れる。
この程度が本望。
低すぎるハードルであっても、本人にとってはひとつの達成。
そしてこの背を見て育った息子らも、何に重きを置くべきか察知しはじめたようである。
彼らは言う。
勤め人になるつもりはない。
その意気やよし。
いつか父子三人ぶらり集まり明るいうちから正宗屋でビールを注ぎ合おうではないか。
それがわたしの次の夢。
あくまでハードルは高くない。