台風24号が日本列島に迫る土曜夕刻、生暖かな風が時折そよと吹いて、そこに小雨も混じる。
店の灯りは少なく、いつもより空を覆う雲が分厚い。
薄闇のなか淀屋橋から北浜に向いて歩く。
ほとんど人通りはなかった。
嵐の前の静けさを可視化すればこうなるといった景色をくぐり抜け聚楽園淡路町店に着いたのは6時5分前。
すでに座席は埋まり懇親会が始まっていた。
この日、同窓会理事会の司会進行役を務めた33期妹尾君の前に座った。
理事会では各部会の取り組みや今後の行事予定などについて報告が為され意見がとりまとめられた。
恒例の大阪星光大忘年会は「世代を超えた星光愛」とのテーマのもと12月1日夕刻、シェラトン都ホテルにて開催される。
幹事を31期が担い、それを41期と51期がサポートする。
世代をつなぐ企画が盛りだくさん。
賑やか楽しい会となるのは確実だろう。
案内状は近日発送される。
わたしがもっとも関心惹かれたのは、都市環境部会が主催する婚活パーティー。
好評を博しているようでそれが縁で進行中の話もあるというから実があって意義深い。
うちの近所の女子らがまもなく歳頃。
頭も良ければ性格も良くて器量よし。
当然、親子ともども真面目で品行方正。
そんな女子らに良き役割が果たせればご近所冥利に尽きるというものであり、有望男子である後輩に良き伴侶が紹介できるのであれば先輩冥利にも尽きるということになる。
聚楽園は安くて美味しい。
25期大谷さんが懇親会の場として紹介してくれたという。
食べ放題で飲み放題。
それでたったの三千円。
紹興酒まで飲み放題にして四千円であるから、商売あがったりといった話である。
そんな料理が場の盛り上がりに拍車をかける。
面白い話をいくつも聞いた。
50期の話によれば、伝統的に輪の中心は星光生だったという。
塾つながりなどで灘や甲陽や東大寺といった仲間と連れ立つ際、大阪的世話焼体質が色濃いからだろうか、たいていの場合、星光生が中心で、卒業後、ゴルフするにしても結婚式するにしても輪のなかの芯となるのは星光生だった。
芯となる人物。
33期のタコちゃんを思い浮かべれば分かりやすい。
その八本足と吸盤で、なぜかいろいろなメンバーがタコちゃんのもとに集まっていてこれはタコちゃんでなければ成し得ない。
しかし50期の彼が言うには昨今は様相が異なってきたらしい。
54期あたり以降から、他校を横断する輪の中心には西大和が目立つようになってきたというからリーダーシップは遷都してしまったようである。
やたらと手間暇かかる行事目白押しの西大和だからこそより良く行き届いた八本足と吸盤が育つということなのかもしれない。
体育祭であれ学祭であれ何度も何度も打ち合わせし練習し、その後でまた打ち上げなどがある。
芯となるような人物はこんな面倒なプロセスを通じてこそ生まれるのだろう。
午後8時を過ぎて散会。
皆は場を変え宴は続くようであったが、わたしは帰途についた。
会いたいと思う頃に集まる機会が設けられ、話したいと思う時に親身に耳傾けてくれる人がいる。
まさに港のような場所。
大阪星光はほんとうにいい学校である。
この日お目にかかった様々な方の横顔を思い浮かべながら心地よく電車に揺られた。