KORANIKATARU

子らに語る時々日記

分かる人には分かるといった質の類の話

前夜のお酒がカラダに残っていたが、朝の武庫川を走って爽快。

シャワーを浴びて全身で水しぶき弾き、完全蘇生が果たされた。

新米を求め、家内の運転で丹波に向かう。

 

空晴れ渡り、風薫る秋の好日。

出かけずに過ごすなどあり得ないことだった。

 

丹波へと向かう道中の話題は大阪星光懇親会。

前夜、大阪星光の懇親会が開かれた。

場所は、てっちり治兵衛難波本店。

 

耳に挟んだ断片を家内に話す。

たとえば、ここ1,2年大阪星光の人気は上昇傾向にあるといったようなこと。

 

聞くところ学校説明会の参加者が増えている。

参加者数が昨年増加に転じ今年もまた引き続き増加した。

 

卒業生としては嬉しいことである。

進学実績という点でそれほど目を見張るものはないが、「つながり」という目に見えない部分にこの学校の良さがあり、そういった部分が静かに知れ渡っているのかもしれない。

 

先日のこと。

33期で集まって飲んで店の前で記念写真を撮った。

10代の頃とは様変わりしたが8名それぞれ核となる面影は当時のまま。

 

その翌日、66期の部活仲間が一緒に食事し店の前で記念写真を撮った。

それも8名。

みな笑顔。

 

その2枚を並べてみれば一目瞭然。

学年に30年以上もの開きがあるが、本質は同じ。

連綿と続く何かをそこに見て取ることができた。

 

大阪星光の良さというのは、声高に喧伝できるような量的なものではなく、分かる人には分かるといった質の類の話と言えるのではないだろうか。

 

クルマで約一時間。

そんな話をしているうちに到着。

春日インターで降りてすぐの場所、おばあちゃんの里は混み合っていた。

 

新米のコシヒカリ5kgを2種買って、あ、そうそうと父のために日本酒を選び、ついでに家用のものもカゴに入れた。

 

食材を前にすると家内は活気づく。

野菜に果物、卵、牛乳、ヨーグルト。

どっさり抱えて結局クルマまで二往復することになった。

 

そして、続いて求めるのは肉。

ネットで調べると高見牧場はクルマで10分ほどの場所にあった。

そこに直売所がありレストランもある。

 

うちの息子は食べ盛りであり肉食系。

そんな肉屋があると知ってしまうとこの行程から外す訳にはいかなかった。

 

クルマを10分走らせる。

が、それらしき牧場はない。

辺鄙とも言える場所にあってナビも役に立たない。

 

電話で道順を聞いてもよく分からず思案に暮れるが、そこでじっと停車していると目が慣れて断続的だが客の流れが見えてきた。

 

その流れに乗ってようやく店にたどり着くことができた。

 

道一本はさんで牛舎と売り場が並び立つ。

人の業のようなものを感じつつ、レストランエリアで家内もわたしもステーキ重を頼んだ。

 

待つ間、子らのための肉を選ぶ。

ひと目で美味しいと分かるのであれもこれもとなって結局分量は2kgの嵩に及んだ。

 

買物を終えて、ゆっくりとステーキ重を味わう。

先日食べた福寿館のステーキを上回る。

柔らかでジューシー。

家内が調理場に行きわさびをもらってきてステーキに添えた。

さらに味が引き立ってわたしたちはその旨味に心奪われた。

 

これで大満足。

丹波城には目もくれず、家路についた。

夕方には息子らが戻ってくる。

油を売っている暇はなかった。

 

帰途のハンドルはわたしが握った。

行きと同じで帰りの話題も懇親会。

 

受験の専門家が東京からお越しで、その話が興味深かった。

 

たとえば、大阪星光は通しにくい、という話。

 

問題が標準的な分、高得点の争いとなりちょっとのミスで涙を飲むことになる。

どれだけ優秀な子でもミスはする。

それを挽回できるような、たとえば一発逆転ホームランといった要素がないため、まさかの不合格ということが西大和や東大寺に比べて起こりやすい。

 

そんな話が引き金になって、車中、わたしたちは子らの中学受験を振り返った。

今では遠い昔のことに感じられるが、思い出すほどにたいへんであったという記憶がよみがえる。

もう二度とごめん。

考えるだけで尻込みしてしまう。

 

早めに丹波を発ったので渋滞に巻き込まれることもなく午後5時前には家に着いた。

 

夕飯は豚しゃぶ。

塩麹で仕込んであった三田ポークがこの夜の主役であった。

 

各自風呂を終え、支度を二男も手伝っていよいよ夕飯。

長男はリビングの遠く向こうで勉強に取り組み、キリのいいところまで手を止める気配がない。

 

ビールで乾杯し、引き続き、丹波で買った日本酒をお猪口についでまた乾杯。

飲んでわいわい三田ポークを満喫していると、二男が言った。

 

ここにフグを投入するのはどうだろう。

 

異論述べる者はなかった。

昨晩の残りのてっちりが三田ポークの独壇場に投ぜられた。

 

互いが互いを高め合うとはまさにこのこと。

鍋はますます美味しくなった。

 

それで興にのり、この日買ったばかりの神戸高見牛も試そうとなった。

 

3つの主役級が揃い踏み。

とても優劣などつけられない。

 

幻とも言える極上鍋が出現したのを見計らったように、ここで長男が食卓に着き鍋に参戦。

鍋を迎え撃つ我が陣営もエースが二人顔を並べることになった。

 

長男は言った。

めちゃうまい。

そして何度も言った。

めちゃうまい。

 

それで家内は報われた。

すべてはこの言葉のため。

彼女の内なる弦は強く打ち震え、また近々わたしは食材調達に駆り出されことになる。

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土曜夜てっちり治兵衛、日曜調達丹波の新米