KORANIKATARU

子らに語る時々日記

カメの歩みを奉る

あまりにとろけて見えたので中トロを3ブロック持ち帰った。

予定狂ったのか、その取り扱いに困った様子を見せた家内であったが、一瞬後、明るい笑顔になって言った。

 

美味しい沢庵があるからトロたくの手巻きを作る。

 

パクチーソースで味付けした鶏肉サラダを食べつつ白ワインを飲み、支度を待つこと数分。

 

横に座った家内がその場でトロたくの手巻きを次々こしらえ始めた。

アボガドとトロの柔らかみ、パリパリの海苔と沢庵のほどよい歯ごたえが見事に相補い合って、感極まるような味わいを醸し出し見事。

 

クリスマスはどこの家でもご馳走を作るが、うちは毎日がクリスマスのようなものである。

そう話すと、ワンテンポ遅れて家内も頷いた。

 

料理を作る当事者にとっては、毎日普通のことをしているだけのこと。

だから何を作ろうと特別感はない、ということなのだろう。

 

つまり、「どうだ見たか」と料理を作って見得切るうちは半人前。

仕事人としても弁えておきたい心得と言えるだろう。

 

実は前日、夫婦の忘年会として昨年同様、今里のあじ平を予約していた。

ところが、それが塾の懇談と同じ日同じ時刻で重なっていた。

 

この局面で、てっちりを選ぶはずないのが家内であり、だからこの夜は塾を通じて仕入れられた教育情報がもっぱら食卓の話題を占めることになった。

 

塾の先生は大阪星光に手厳しい。

上位3分の1に入るメンバーは確かに高い能力誇るが、上下差が大き過ぎ学校全体がのんびりしているせいか、うっかりすれば上位者も含め皆がそんな空気に染まりかねない。

だから塾でしっかり意識高く勉強に取り組む必要がある。

 

家内が日頃抱く問題意識にドンピシャ合致する話であったから、家内にとってはてっちりなどよりよほど熱が入るというものだった。

 

たとえば同じ高1であっても西大和は早くも神戸大オープン模試を受けるなどして、勉強の仕上がりが普通ではない。

熱心な教師が陣取るなか特に高1は手厚く遇され、塾の出る幕がないほど高いモチベーションが維持され学力が日々鍛え上げられている。

 

東大寺と大阪星光に子を通わせる母親は、星光の親身さ、面倒見の良さを目の当たりにして驚き、そして感動する。

が、西大和と大阪星光に子を通わせる母親は、星光のぬるさ、のんきさに焦りを感じて居ても立ってもいられない、ということになる。

 

男親としては長い目で見ればいいのではと思う。

 

同じ高1の上位者を比較して、中1当時は同じようなものだったのに、高3の大学入試で西大和の後塵を拝したとしても、人生は長く非常に長く、職業者となってから地の塩、世の光と本気出して精出す星光生は少なくないので、ウサギとカメのたとえではないが、今の時点でどっちがどうなど決めつけることはできない。

 

それに、中学入試をくぐり抜け3分の2がいったんはカメの歩みになったとしても、それは一種の準備期間のようなものかもしれず、侮るなかれ、彼らがそのままカメで終わるということはなく、異なるステージではカメがウサギになり、ウサギがカメになるということがごく普通に起こり得る。

 

だから西大和から見て星光全部がカメの歩みに見えたとしても悲観することはない。

 

そういうことを全部ひっくるめての人生だろう。

そんな話をしているうち下の息子が帰ってきた。

 

議論の輪にいれ意見を求める。

カメになる気はさらさらないとのことで、わたし一人がカメの歩みを奉る異端者となった。

 

ごめんやしておくれやしてごめんやっしゃー。

父の出る幕は当分ないようである。

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2018年12月23日夕飯と24日息子の朝食