KORANIKATARU

子らに語る時々日記

非の打ち所がないという退屈

仕事仲間の話を聞いて驚いた。
彼が属する世界はわたしが日頃接し見聞きする場の相貌とは全く異なっていた。

 

無意識のうち同一視しているだけで、ひと回りも歳が下になると別世界。
思考も感性も違って当然という話なのかもしれない。

 

最近、彼の友人の間で離婚が目立って増えてきているという。
その原因が共通していて、奥さんの浮気。
携帯の料金や履歴から明るみになって一悶着を経て離婚に至る。

 

わたしは身近でそんな話を耳にしたことがない。
映画やドラマの世界あるいは百年に一度起こるか起こらないかといった特殊ケースにしか思えない。

 

だから眉に唾して彼の話を聞いていたのであったが、彼は強調した。
珍しいことではなく日常茶飯事。
嘘を混ぜたり話を盛ったりするタイプの人間ではないので、彼の言葉をそのまま受け取るべきなのだろう。

 

男性側に何かよほどの問題があったのでは、わたしはそう問い返したが、彼が言うには、お手本のような男子らであったという。
家事炊事をこなして育児にも尽力する彼らは一様に真面目で心優しく非の打ち所などどこにもない。

 

草食化した男子は家畜とされてかつ無残にもその喉元を噛み千切られる。
俯き草を食む彼らの眼から溢れ出す無念の涙が見えるようでありその粗暴でワイルドな世界に怖気が走る。

 

そんな修羅場を生き抜くのはわたしには土台無理なこと。
彼より10年早く生まれてきてほんとうによかった、と胸をなでおろし、しかし、と思う。

 

うちの息子らにとってはこれからの話。
安堵している場合ではなかった。

 

最近はわたしも家の用事を結構手伝うようになった。
ゴミも出すし、洗い物も洗濯もする。
炊飯器を使えばご飯を炊くこともできる。

 

実際にやってみると大した手間ではないし気分転換にもなる。
これで家内が楽になるのだからいいこと尽くめである。

 

この姿をみて息子らも家庭人となった際には当たり前のように家事を手伝うことだろう。

つまり下手すればこのまま彼らも非の打ち所がないという男になりかねない。

 

時代は変わり、要請に応え過ぎる人畜無害はかつて大事にされたがいまでは関心寄せられずぞんざいに扱われてしまう。
そういう観点も必要なのだろう。

 

そこから目が離せないという状況の生成が猛獣使いの極意。

多少ほころびあるくらいの人間の方が退屈しないし、実はそれこそが緊密な人間関係を生む重要なキーなのかもしれない。

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2019年2月8,11日 二男の夕飯