KORANIKATARU

子らに語る時々日記

ニンニク注射で疲労回復しワイン会(その1)


夜のワイン会に備え、阿倍野の田中内科クリニックを訪れた。
順番待ちの際、待合室のモニターに映し出される健康情報に自覚を促される。
備え置きのアクアラインの水をがぶ飲みする長男の姿が思い浮かぶ。
長男もちょくちょく寄せてもらうことと思います。
その折はよろしくお願いします。

採血のあとスペシャルニンニク注射を受ける。
清涼感が駆け巡る。
砂漠で枯れた心身に恵みの雨が降り注ぐかのようだ。

目に光、肌に潤い、空に太陽、肉に弾力、脳ミソに英気が宿る。
艶々の男となって、強烈な陽射しを跳ね返し、いざいかん。
肝臓はさあ来いとあらゆる不純物を粉砕分解する臨戦体勢に入った。

この日面談日時の行き違いが一件あった。
ニンニク注射を受けていればそのような不注意は生じなかっただろう。

かつて奈良の事業所を訪れ、奈良で書類一切を忘れていることに気付いたことがあった。
持参を忘れぬよう事務所出口付近に書類を置き、かばんに入れたものと思い込んで書類を素通りしてクルマに飛び乗った。
奈良で書類の不所持に気付いたときのあのヒヤリ感は忘れない。

アポの行き違いもこれが最初で最後としなければならない。


この日の夜、BigBeans主宰のワイン会を申し込んであった。
初めての参加である。
ワインには不案内だ。
少しでも何か覚えよう、それが参加の動機である。
事務所で用事を済ませ、家内との待ち合わせ場所に向かう。

イタリアワイン特集ということである。
食材提供のジャパンソルトの方の説明によると、シシリーのFAZIOというワイナリーのボトルが数々準備されているという。

出だしはペタリ・ブリュット。
一口含む。
シュワシュワ感が広がり、素晴らしい時間が始まるのだとこの瞬間に確信できた。
アミューズに添えられた白トリュフソルトがたいへんにコクがあってスパークリングの味わいを更に際立たせる。

ワイン会という落ち着いた雰囲気の中、私は飲ん兵衛ペースで次々お代わりを頂戴する。
2番手のモンテリーモ・ビアンコの段階で既に酔いが回り始めている。

目の前に座る家内も次回は友達も誘おうかと喜んでいる様子だ。
発心集に記された正算僧都の母みたいに日頃百パーセント母としての役割を果たし、子らに母さんと呼ばれ頼りにされ、近所でも誰々君のママと評判を集め、そして束の間、選りすぐりのワインで一時くつろぐのであった。

前菜のサラダやバルサミコチキン、グリッシーニなど、白ワインを引き立てる料理が皿に盛られる。
3番手のペルケノ。
微か感じる発泡の優しい刺激に心が和む。
ペースを緩め、ゆったりと味わう。
一体ここまでで何杯飲んだのだろうか。

このワイン会、実にいいではないか。
岡本を誘わねばならない。
しかし岡本が診察を終えた後どんなに急いでも7時には間に合わないだろう。
義妹の旦那などワイン好きの顔が何人か思い浮かぶ。

そして白シリーズが終わり、モンテリーモ・ロッソ、カルベネ・ソーヴィニンと赤ワインが登場する。
料理は牛テール。
テールと言えば韓国料理のテールスープしか知らなかったが、このようにソース和える頂き方もあるのだ。
実に柔らかくとろけるようなおいしさであった。

トリは赤の微発泡ランブルスコ
はじめて経験する舌触りに感嘆しつつ、岡本が家に来たとき飲ませようとボトルを買った。

つづく