KORANIKATARU

子らに語る時々日記

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

もう一つの夜にも光を当てる

昔なら考えられなかった。 飲むなら飲む。 その一辺倒だった。 あるいは、飲まないなら飲まない。 飲まない日を継続することでしか、飲まないという状態を維持できなかった。 いま、飲む日と飲まない日が並び立つ。 飲むのが好きで楽しく、何の苦もなく飲む…

毎日が楽しいおつかれさん会

月曜、火曜とお酒を飲まず静かに過ごす夜、電話が鳴った。 息子からだった。 もう深夜という時刻であるから、一瞬身が凍った。 本を脇に置いて電話に出ると、明るい声が聞こえた。 全身の強張りはたちまちのうち溶けてほどけた。 いま、飲んだ帰りとのことだ…

謙虚につつしみ深く

月曜が申請の締め切りだった。 どうしてもと金曜に頼まれて、なんとか目処が立つから引き受けた。 職員で手分けし週末を使えば月曜の午前には書類が仕上がる。 そして、その午後、出来上がった書類を家内が神戸に持ち込めば間に合う。 目論見どおり事が進ん…

原因と結果の法則5

開店前のとびこめに電話で注文してから家を出た。 高速を夕陽ヶ丘で降り11時前に桃谷に着いた。 店を訪れると頼んだ寿司がすでに出来上がっていた。 寿司を受け取り、引き続き家内の運転で文の里から高速に乗って喜連瓜破で降り、11時半には家内の実家に到着…

土曜日の夜、天王寺に繰り出した

わたしが早稲田だから息子たちもそこに照準を合わせれば軽く合格できる。 そう当て込んで楽ができるほど早慶の受験は甘くはない。 午後、本町で家内とわかれ、わたしはひとり実家に寄った。 父が大学受験について聞いてきたから、わたしは質問に答えた。 た…

見知った顔の最適濃度

冷房でカラダが冷えていた。 だから炎天のもと、天八から天六まで歩いた。 6月だが暑さは8月盛夏のものだった。 冷えが火照りに覆われて、寄る年波、そんなアンバランスに気分まで滅入った。 なんとか駅にたどり着き、ホームに電車が入ってきたがとても走…

帰る方向は女房と同じ

仕事の手伝いに来ていた家内に誘われた。 断るはずもなく、帰途、ルクア赤白の列に一緒に並んだ。 待つこと15分ほど。 カウンター席に案内されて、まずはスパークリングを注文した。 乾杯し、すぐにグラスが空いて続いて赤ワインに移行した。 仕事後、夫婦で…

耳馴染んだ音楽が違った風に聴こえた

勝利と自由を天秤にかければ自由が勝る。 この日の終業が午後8時で場所は天王寺。 空腹が限界に達しつつあり、家に帰れば9時を過ぎる。 平日ではあったが、一杯飲んで帰ることにした。 なにも白星ばかりが能ではない。 負ける自由があってよく、たまに黒星…

運勢自体が様変わりした

先日、上京した。 その際、自転車で家内の後をついて回った。 家内には楽な行程であっても、体力差は顕著でわたしは疲弊した。 帰阪直後は疲れが過ぎて、なかなか寝付けず、遠い昔のことを思い出した。 若い頃、朝から晩まで働いて疲れ果て、眠れないという…

こんな人間と出会いたい

週の初日の月曜午前、家内はこのたび新規で加入するジムに出かけた。 初回の体力測定で「アスリート並み」との判定を得て、家内は大いに気を良くした。 日頃欠かさず通うヨガの成果と言え、今後は筋肉の増強にも励み水泳もメニューに加える。 これでこの先も…

家族の結論は変わらない

夏用のアロマスプレーを家内が調製してくれた。 これで炎熱を縫って爽やかな香りが匂い立つ。 家内がアロマに凝り始めたのはいつ頃のことだったろうか。 趣味が嵩じて資格まで取得したから実に家内らしい。 わたしだけでなく息子たちも事あるごとにアロマオ…

いい流れはいい流れとともに

たった5年。 顧問先のひとつが瞬く間に巨大化した。 そのお祝いがあり駆けつけた。 スポーツ選手から行政の長まで。 紹介される祝辞の肩書が錚々たるものであったから、地元での存在感が明瞭に把握できた。 会場では地元ビールが飲み放題でそこそこ飲んだが…

心配するにもほどがある

白ワインに続いて赤ワインも空いた。 あっという間に4時間が過ぎていた。 豪勢な食事のラインナップを反芻しつつ、ぶらり歩いて家内と共に帰途に就いた。 何かを心配する。 それが家内最大の特質と言えるのかもしれない。 「心配する」というプロローグがあ…

ルールの運用は緩く柔らかく

明石での業務を終え西から東へと大移動し、吹田岸辺で電車を降りた。 長谷クリニックは吹田市民病院の手前、クリニックモールの一角に位置する。 待合室でテレビの大画面を眺めつつ順番を待った。 この日も同様。 院長がそのたびに待合室に姿を現し、次の患…

世の中はいろいろな人が動かしている

世の中は東大出身者が動かしている。 西大和の学年主任は事あるごとにそう言った。 やはり東大は特別な場所。 そこに行けばすべてが叶う。 実に子どもっぽくそう信じ込む息子にわたしは言った。 そんな訳あるかいな。 ただ、受験を競技として見れば金銀銅の…

滞在最終日の記録

チェックアウトは十二時。 だから、のんびり過ごせる。 そう思っていたが、十時にはじっとしていられなくなった。 さっさとホテルを出て、この日も同様、自転車を借りた。 日曜午前の大手町界隈を自転車で走る。 曇り空であったが、その分、涼しく実に快適。…

滞在二日目の記録

朝五時、いつもの時間に目が覚めた。 外はもう明るい。 ホテルを出て、そこらをひとりぶらついた。 土曜日であるから大手町に人の気配はほとんどない。 都心であるのに緑が豊富で、ほんのりと冷えた朝の空気の鮮度は特筆すべきものであった。 このあたりで息…

滞在初日の記録

東京駅から山手線で渋谷に向かった。 SUSHI TOKYO TENの予約が11時でそこで長男と待ち合わせていた。 さっぱりとした表情で息子が現れた。 ジムでトレーニングしてサウナに入ってきたという。 松葉杖はもう不要で、先日骨折した右足首を除き体調は万全とのこ…

モノよりコト

二重橋駅の改札前に長男が現れた。 エレベーターを使い5a出口から地上にあがってそこでタクシーをつかまえた。 お茶の水のフレンチの店に着いて注文を済ませたとき、二男が姿を現した。 これでひさびさ家族四人が勢揃いした。 シャンパンで乾杯し、そして赤…

自分であっていい

奈良を出た大和路快速が王寺駅に停車した。 ここを起点に夜の車窓の向こう、思い出が並走し始めた。 大阪駅で神戸線に乗り換え、つくづく思った。 結構、たいへんな通学距離である。 文句も言わず6年も通った息子の胸中が察せられた。 あるときのこと、息子…

朝になれば深海に籠もる

早朝から仕事に励み、午後三時には一段落ついた。 事務所を出て近所のイズミヤに寄った。 密やか閉じていた意識に光と音がなだれ込んできた。 深海から水面に浮上したようなものであった。 そして気づいた。 買い物する女性の身なりがかなりいい。 谷六はち…

夢の時間がそっくりそのまま蘇る

朝、駅に向かって歩いていると、流れる曲が『Better Now』になった。 昨夏、鳴門への道中、クルマの中でヘビロテした曲であったから、その旋律のうねりの各所に記憶が埋め込まれていた。 見慣れた駅前の景色に鳴門の海が姿を現し、出勤途上にありながらわた…

いよいよ東京へと目が向き始める

部活を終えた高3の夏から勉強すれば京大に合格できる。 かつて大阪星光ではそのように言われていた。 が、ここ最近、事情が異なってきたという。 京大の数学がみるみる易化して、かつ、京大の受験者層が全国化した。 そして星光生は英語が弱い。 地方の優秀…

スポーツが母国語的に作用する

慣れ親しんだスポーツが思考の型と価値観を形成する。 息子の就職活動を振り返って、つくづくそう思った。 当初は経済的な指標を軸に会社選びを行い、高給という点で申し分ない会社の内定を早々に獲得した。 個人のポテンシャルが問われ、能力を高めることが…

夢が本気に火をつけた

テーブルを買い換えようと思い立ったのは昨年終盤、二男が友人を家に引き連れたときのことだった。 そのまま先延ばしとなって半年以上が経過した。 なにせ家で過ごすのは夫婦ふたり。 いまの大きさで十分事足りて、だから買い換えようとの気持ちは失せていた…

喜びが倍増しになって溢れ出す

芦屋へと向かう途中、にし整形外科を訪れた。 院長の西先生は大阪星光の31期である。 糖化や酸化を防ぎ、筋肉質で若々しい身体を目指すため、夫婦揃って指導を受けている。 この日はMCTオイルについて話を聞いた。 飲む美容液とも言われ、エネルギーに早変わ…

囁かれる情報は威力大

金曜夕刻の予定が変更となり、わたしは一人になった。 場所は阿倍野。 わたしは自身に問うた。 金曜は平日か。 否。 土日を前にする金曜は特別な日であって、「平」が冠せられるその他曜日とは一線を画す。 金曜は平日か。 自身の内に生じた宗教論争に呆気な…

なんであれまずは相談することが大事

朝、事務所前からタクシーを拾った。 西天満まで15分ほど。 男三人で吉原法律事務所を訪れた。 応接室に案内されて、まもなく弁護士の吉原基先生が現れた。 相変わらずの長身で、その上背に頼もしさと安心感を覚えた。 で、話を聞いてもらうこと90分。 ああ…

やれやれこれで一安心

採用選考が解禁となった6月1日、長男の就職先が決まった。 振り返ってみれば、かなりの長丁場であった。 数々の業界に関心を持ち積極的に動き、始動から数えれば一年に及んだ。 大使館をはじめとする複数のインターンを掛け持ちし、副主将としてラグビーに…

たまに意識が留守になる

夕飯は豚しゃぶ。 鍋の向こうで家内が携帯を指し示す。 その日に撮った写真を見せ、各地でのエピソードを語るから紙芝居みたいなものである。 ノンアルを飲みつつ、家内の話に耳を傾け写真に目をやるが、少し気がかりなことがあってわたしの意識は「いまここ…