KORANIKATARU

子らに語る時々日記

すれ違い様に手を振るのではなく、、、

土曜朝の始発に乗る。三宮辺りで夜通し遊んだのであろう学生風の男女が前に座っている。尼崎で女子が降りる。間もなく電車が発進し、ホームを進む女子にぐんぐんと電車が追いついて行く。

まもなく、すれ違う、その瞬間。

常識的には電車から男子が、ホームから女子が手を振り、男子は少しは照れて、一方の女子は女子力養成講座で特訓したとっておきの笑顔を返す。

そのようになるはずであり、そのような陳腐なシーンに他人事ながら赤面する覚悟をしていたのであったが、すれ違い様、男子はうつむいたままメールし、女子はホームで歩きながらメールしている。

一瞬、なんと淡白な関係なのだろうと唖然として、しかしすぐに気づいた。

二人は互いを相手にメールしていたのだ。そう考えれば、すれ違い様、同時にメールをのぞき込む姿もうなづける。

いまやコミュニケーションの主流はメールとなってしまった。きっと二人はベッドでもメールで絵文字交えて愛の言葉をかわすに違い。

ああ、ホームでの別れ際、電車を追って走って別れを惜しんだ我ら青春の日々が懐かしい。