朝5時の二号線を走っているとたまに前を養殖フグを積んだ輸送トラックが走っている。
トラック背面に描かれた愛嬌あるフグの絵面を寝ぼけ眼で見つめつつ、荷台の暗い水槽のなか、まるで満員電車で揺さぶられるがままとなったようなフグたちの様子を思い浮かべる。
切り刻まれ食われるがため、まさに文字通りの受身形「I was born」された身の上たちが置かれた境遇に感情移入しそうになるが、彼らにはきっと感情などないのだろう。
フグはじめ漁獲量減るマグロや絶滅の危機に瀕するウナギも、食用のためいくら増産されたところで悲痛な感情が増える訳でもない。
牛や豚や鳥だって、同じこと。
屠殺されるにもかかわらず、流通市場においては愛嬌たっぷりニコニコとしたアイコン添えられ食卓に届けられる。
食べずに済ます訳にはいかないけれど、せめて何かは考えないといけないような気がして、先日朝日新聞の天声人語で紹介されていた「いのちをいただく」を購入した。
子に読ませることにする。