1
日曜日、朝の5時。
クルマに乗り込む。
シャッターが静かに上がっていく。
一体これまで何度目にしてきたのだろう。
お決まりのシーンで一日の幕が開ける。
アクセルを踏みクルマを走らせる。
早ければ3時頃、どんなに遅くとも6時までには家を出る。
一年365日、滅多なことがない限り、土日祝日に関係なく早朝に家を出る。
2
未明の街はクルマもまばら。
一週間ハードに働き詰めだったので疲労気味である。
背中が張って腰が重い。
家のソファで寝転がってのんびり過ごす朝の時間を想像してみる。
窓を開ければ初冬の空気は凛として清涼。
木々は微風にそよぎ、ほんのり暖かな日差しが降り注ぐ。
新聞をゆっくりと読み、コーヒーをお代わりする。
CATVのチャンネルをまわすと懐かしい映画が放映されている。
時間気にすることなくゆっくりと映像に見入っていく。
映画終われば、近所を散策。
新しくオープンしたというイタリアンで昼からちょいとワイン飲み、おすすめの料理に舌鼓を打つ。
食後に本屋の書棚を巡って1,2冊小脇にし、澄み渡った青空のもと輝くかのような明度の街をぶらりと歩く。
そんな祝福された日曜とは無縁の人生を過ごして幾年月。
3
大阪の下町に仕事場があって、そこが私の居所である。
自宅には寝に帰るだけであるから、ここが住所と言ってもいいくらいかもしれない。
あくまで仕事場であるので寛ぐための調度はない。
居心地はいまいちだが、仕事場が住処、私の心は安閑としてここに着地する。
個人の思惑を超えた不可避の力が作用して、私は毎朝ここにやってくる。
何らかの均衡がそれによって保たれる。
4
今夜、長男は旅行で留守となる。
塾で二男をピックアップし、好物買い込み家で遅めの夕飯となる。
年が明ければ家族揃って快心の週末を過ごす機会も増えることだろう。
それはそれとして、
ひんやりとした孤独の肌触りも心地いい。
こちらの方こそ男子の定宿というべきなのだろう。