KORANIKATARU

子らに語る時々日記

春の夢

3月折り返しの日曜日、冬の装いのまま歩けば汗ばむほどの暖かさである。

北口のガーデンズまで一人でぶらりと歩く。

 

開店して間もない時間なのに子連れ家族でガーデンズはすでにどのフロアも賑わっている。

人波をかき分けるようにして進み、ユニクロに向かう。

長男にはM、二男にはSサイズの白いシャツを買った。

 

結構なガタイの二人である。

サイズは大人用でちょうどいい。

パリっとしたシャツまといすっくと立ち上がる二人の体躯を思い浮かべる。

まもなく身長も追い抜かされる。

 

ゆっくりゆっくり順調に新旧交代のプロセスが進んでいく。

これでもかというほどの激忙を駆け抜けいまはのんびり隠居生活を静か味わう父に続き、いまは私が壮健の盛り、小粒の激忙にあっぷあっぷ息も絶え絶えとなりつつも何とか日々朗々と持ちこたえている。

 

そのうちしばらくして、ちっぽけな私などをはるかに凌駕する二人の豪傑が、世の荒波にざんぶと身を投じその力強いストロークで波濤凌いで頭角を現すことになるのであろう。

 

その頃私は水からあがって船上の身。

デッキチェアに優雅横たわり若武者の奮闘に目を細めているのだろうか。

ああ、春の夢。春の夢。

 

夢は夢、贅沢な夢見にはご用心。

頭垂れて腰低く、質素倹約、刻苦勉励に徹して生涯過ごす信条に変わりはない。

 

祖父、父、私、そして子供たち。

身過ぎ世過ぎする生業は異なれど順番通り巡るのであれば、すべてよし。

それで十分。

他のことはあってもなくても、構わない。