KORANIKATARU

子らに語る時々日記

雨降りの日、隙間時間に本を読む。


梅雨など名ばかり、比較すれば6月より9月の方が雨が多い。
ここ数年、大阪はそのような傾向であったのに、今年はこれでもかというほどに梅雨らしい日が続いている。

傘を持って事務所を出る。

客先に入る前、どうしても中国領事館に聞いておかねばならぬことが生じ、しかし全く電話がつながらない。
誰か他の人に間接的に聞いて済ませる訳にはいかず、しかも確認しないことには話が先に進まない。
ネットに出てくる情報でもない。

結局、ビルフロアのベンチに腰掛け、通風口から吹き出す冷気にカラダ冷やしながら、かけ続けること一時間。
11:55になってやっとつながる。
価値ある一次情報を得ることができた。


電話が混み合ったおかげで本一冊に目が通せた。

ブレイス法律事務所代表、渡邉直貴弁護士らの最新作「訴訟リスクを劇的にダウンさせる就業規則の考え方、作り方」。
今回が四作目となる本著も非常に参考になる内容が盛り沢山であった。
数々、ページに折り目をつけた。

特に第二章「時代の変化に対応した規程」は労務管理に携わる者にとって必読であろう。

個人所有端末の取り扱いについての規程や、施設管理権を根拠にし行うモニタリング規程などは特筆すべき収穫であった。
すぐにでも取り入れなければならない。

腰据えて、折り目箇所に重点置き再読するつもりである。


電車で移動の際には書物が欠かせない。

事務所への帰途、電車のなかで「桜井さん、うちの子受かりますか?」のページを繰る。

前作の「下克上受験」は名作であった。
受験といった枠を越えて、胸打つ普遍的な父娘の物語となっていた。

読んだ当時は私自身も現在進行形で受験パパであったため、そこにしたためられた作者の切迫感と問題意識に強く感情移入し、課題克服のための飽くなき創意と工夫の数々に舌を巻く思いであった。

本作は、その後を振り返っての総括的な反芻の書と言えるだろうか。
読み進むうち、たちどころ引き込まれることになった。

中学受験を論じる切り口と焦点の当て方について、その的確さは相変わらずであり、いちいち唸らされる。
また、ユーモアあふれ、かつ分かりやすい比喩に満ちた表現力も健在だ。

偏差値は下から上へと途切れなく連続するものではなく、難関の手前と最難関の手前の二箇所で、非連続にジャンプし切れているという洞察など、あまりに本質を突いていて、やはりこれほど真剣に中学受験に向き合い、取り組み、考え抜いた人はないのだと納得させられる。

両隣の非連続な断絶に挟まれたスペースは、まさにライバルひしめく踊り場同然。
だから、上下差などなきに等しく激戦になる。
受験を経た者にとって強く身に沁みるこのような言葉が、端的な表現で随所に並ぶ。

そして、作者は斜に構えることなく、真っ直ぐな言葉遣いで中学受験の意義を説き、中高一貫校で過ごす価値について熱弁を奮う。

そこに作者である桜井信一氏の真摯と誠実を感じる。

中学受験をするならば、周囲の有象無象の話し相手に囲まれてしまう前に、この書を手に取り携えるべきであろう。

信頼置ける伴走者を傍らにし常に励ましを受け対話できるようなものであり、起伏あって難所続くハードな受験の道のりの大いなる助けとなること間違いないと言えよう。


帰宅すると、二男がリビングに降りてきた。
期末試験は明日が最終日。

あと二教科受ければ自由になれる、解放の予感に二男は打ち震えているといった様子だ。

そうそう、試験はそれがあるから、たまらない。
最終日を指折り数え、そして、歓喜する。
かつて私もそうであった。

期末試験後は真田山プールでの水泳教室が丸2日あって、それで実質的に夏休みとなる。
そりゃ嬉しいに違いない。

ほどなくして長男が帰ってきた。
大ニュースがあるという。

それが大ニュースなのかと拍子抜けしつつ長男の話を肴に加え、家内手製の中華を味わって夕餉の時間を過ごした。

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