KORANIKATARU

子らに語る時々日記

今は面影となった誰かとの再会


日差し和らぎ風もあるお盆初日、千日前線で鶴橋へと向かう。
平日なのに地下鉄は休日ダイヤで運行されている。
お盆については日本文化を尊重しいっそ祝日化してしまえばいいのではないだろうか。

来年からは8月11日が山の日ということで祝日となる。
夏の真ん中に大型連休が来るのは誰にとっても喜ばしいことに違いない。

難波から二人の少年が乗車し私の前に座った。
どこからどうみても兄弟。
瓜二つの大と小がひとつのイヤホンを分けあい何やらタブレットの画面に見入っている。

小学校高学年であろう兄貴は、菓子折り入った紙袋を携えている。
どうやらこれから祖父宅を訪れる。
そのように見える。
やや遠方から兄弟二人で電車を乗り継ぎ、じいちゃん、ばあちゃんの家に遊びに行くところなのだろう。

鶴橋駅で私は下車する。
彼ら小さな兄弟たちもホームに降りた。
そして兄弟並んで駆け出し階段を駆け上がる。

何とも微笑ましい。
早くじいちゃん、ばあちゃんに会えるといいね。


近鉄電車に乗り換え、八尾に向かう。
駅で降り、交差点で信号を待つ。

私の右横で信号を待っていた少年が何かに気づいたように突如一目散走り始め、青が点滅しはじめた左側の横断歩道を渡って行った。

向こうにも別の少年がいて手を振っている。
二人は大はしゃぎで手に手を取り合う。
少年らは再会を喜び合っている、そのように見えた。

遠方へと引っ越して行った友人が、お盆のこの日、戻ってきた。
思いがけずその姿を駅で見て、走りだした。
そのようなことなのであろう。

微笑ましい。
お盆はやはり日本の夏の風物詩だ。


蕎麦の西田は、注文してから仕込み始めるのであろう少なくとも30分、たいていは1時間近く待たねばならない。

そして、その蕎麦は小一時間待つ甲斐があるほど十分に美味しい。
2012年12月30日の日記にも書いたが、若き兄弟二人がここを切り盛りしている。
いずれも超がつくほどの料理処で腕を磨いた職人さんだ。

商売しているというより、技の粋を集めた作品を出品し堪能してもらう、そういった方がこの店のあり方を伝えるにあたっては適切であろう。

大盛りで注文していた蕎麦をおいしく頂いた後、最近テレビで取り上げられることが増えその実力以上に持て囃されているマンジェでヘレカツを持ち帰る。

この日も店舗側の側道が車列に埋め尽くされるほどマンジェは混み合っていた。

たしかにかなり美味いが、そこまで大騒ぎすることでもないだろう。
昔からのファンにしてみれば迷惑この上ない話でしかない。


今朝は事務所へは向かわず、墓参り。
昨日にも増して、外は涼しげだ。

風に涼があって、心なしか匂いもいい。
セミは沈黙を保ち、鳥のさえずりだけが静かに聞こえてくる。

多くがこの日、今は面影となった誰かと再会を果たす。
道中混み合うであろう。

早めに支度し安全運転で出かけることにする。

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