北海道十勝。
旅の途上立ち寄った華のゆ。
男三人源泉の湯船に身を浸す。
周囲からは中国語が聞こえる。
映画で耳にしたような雅な響きだ。
出自麗し、お金持ちの華人に違いない。
露天外気の体感は大阪で言うところの11月。
目隠しで空気テイスティングがあったとして、熊野であろうが黒姫であろうがどこがこようが、いまここで胸に吸う空気に勝るものはないであろう、日本に生まれもっとも凛と臓腑に染みる空気と言えばこれ以外にないとの結論に至る。
37度と言えば少し熱した程度の人の温もり。
その湯温に癒される時間を男子三人で過ごし、並んで洗い場で体を流し、息子二人の逞しさ増すばかりの背の広さをこの手で感じる。
痛ったったった、と息子は言うが構わず力を込める。
湯浴みの交流、幸福な時間を過ごす。
外に出ると、屋外全部に空調が効いているかのような心地よさ。
ああ、在ることがただ素晴らしい。
そう思えるこのひとときを子らと共有し、時季はずれ、我が家夏の旅が幕を開けた。