1
続々と友人らが日本を発ち、いよいよ長男はこの土曜に長い旅路につく。
出発迫る水曜日、やや倦怠感があったため長男は阿倍野の田中内科クリニックを訪れメディカルチェックを受けた。
これで万全。
田中院長自身、医学研究のため2年に亘りワシントン大学に留学している。
最初の2週間で言葉に慣れる、後は楽しい。
長男は院長から助言を受けた。
診察にも増してこの言葉の方こそ、彼の地にあって長男を励ますことであろう。
2
先日は全国優勝を果たした兵庫県中学選抜メンバーらと花園で高校ラグビーを観戦し飯を食ったという。
この春から全国あちこちの強豪校へと進学する猛者たちだ。
間違いなく高校でも頭角を現し全国に名を轟かせる超一級の面々である。
彼らにとってはこの日が別れの時。
次の再会は花園のフィールドでということになる。
長男については最終学年終盤で語学研修と短期留学を優先した。
ラグビーにチャレンジする道はあったが、どちらかを選択せねばならなかった。
もう一つの道。
人生につきもの、いつだってつきまとう。
あの道を進めばどうであっただろうか。
あったかもしれない人生は枝葉に分かれ無限の像を結んで頭にちらつく。
が、いまこの時に身を置く場所が現実だ。
こうでしかなかった。
そういざなわれていると思って現在にどっしり重心を置くことが最良なのであろう。
浮足立つと頭とっ散らかって虻蜂取らずとなりかねない。
結婚だって職業だって同じことであるに違いない。
もちろん空想を巡らせることは構わない。
隣の芝生は永遠に青く輝くが、隣席から見れば自らの芝生だって結構青いと気付ける日も来るであろう。
3
夕刻、二男と合流し風呂に行く。
この日訪れたのは鶴橋の延羽の湯。
サウナがほどよい熱さで17℃の水風呂で極楽気分を味わえる。
蒸し風呂もいいし、温泉もいい。
我ら風呂好き三人組。
桜が満開となる頃、長男が戻ってくる。
みやげ話を聞きつつ男三人横並び。
春の湯につかる平穏なシーンが今から浮かぶ。