1
夕飯後の食卓で二男と向かい合わせ。
彼は宿題をこなし私は本を読む。
ときおり会話する。
他愛のない話。
二人共通の趣味は懐メロ。
気に入った曲のサビの部分では手を休めしばし聞き入る。
わたしが彼の年の頃合いに耳に親しんだ曲ばかり。
遠い昔と今の時間がそれら曲たちによって隣合って繋がる。
当時の空気を再体験しつつ同時に今まさに進みつつある時間をも味わう。
行く時間と戻る時間が交差する。
時間の潮境にあるかのよう。
目の前の中学一年生と三十年以上前の中学一年生が重なり合う。
2
今夜、当時の中一たちが戻ってくる。
場所は北新地。
三十年以上の時が過ぎ手にする飲み物は妖気発する類のものへと変わったが、寄り集まれば中身は変わらず中一のまま。
当時わたしは中一で偶然そこで相まみえた皆も揃って中一であり更に奇遇なことには三十年以上経ってもいつまで経っても互いお互い中一のままのようなもの。
思えば長い長い付き合いである。
中一の結束や堅し。
切っても切れない縁というしかない。
33期飲み会。
心置きなく中一へと戻る時間。
時には高一。
昨夜わたしの目の前に座っていた中一の彼と出会う前からの仲。
彼が誕生する前からことは始まり整えられ、そして、これがまた不思議なことに彼もやがてそこに交わって際限なく行く時間と戻る時間が混ざり合うことになる。
星光のよさはそこにある。
行きつ戻りつしながら果てしなく昔のよしみが紡がれ続けていく。