KORANIKATARU

子らに語る時々日記

皆が画面に釘付けになった

場所は谷町。
役所の待合でテレビを眺める。
元スポーツ選手の逮捕について続報が伝えられる。

たむろするおじさんらの視線が一斉に画面に注がれる。
大阪市井の街角、この件は注目の的だ。

私自身はこのところ全くテレビを見ない。
何度も繰り返し流されたのであろう連行の場面をはじめて目にすることになった。

うちの母校にも練習試合で訪れた人物である。
彼が来るのだと学校中で大いに話題となった。
もちろん弱小相手に彼が試合に出ることはなかった。
が、塁審を務めた。
あの大スターが我が母校のグランドに立ち塁審を務めたのである。

我々のなかそのように刻み込まれた大スターがいま画面のなか現行犯で逮捕され悄然と俯きクルマに乗せられている。

どんな事情があったのだろうか。
どのような拍子でそうなったのか部外者にいきさつは分からない。

生きていればいろいろなことがある。
高みから規範意識振りかざし吊るしあげたり嘲笑したりするような気にはなれない。
何か事情があったに違いない。

排気量ある選手であればあるほど現役引退後はどうしようもないような空虚に苛まれるものなのだろうか。
若くして磨き上げる何かや没頭する何かが失われてしまう不毛について想像してみる。
充溢の時間を取り戻すための道筋を誤ってどうしようもないような流れの渦についつい巻き込まれ、逃れようがなかったのかもしれない。
同情のような思いが湧いてくる。

あれだけのファイターである。
地の底からも浮上するようなガッツを見せてもらいたいと皆が願ってやまないであろう。

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