リビングを行き来する我が家男子の姿を眺め、今更ながらその成長ぶりに目をみはる。
ついこの間までは両脇に抱えて運べるような子グマちゃんであった。
それがもはや青年という域に差し掛かっている。
いまやわたしの方こそ運ばれる。
二人並べばさらに一大パノラマ。
その体躯に内蔵されるエネルギーが所狭しと溢れだし、オーラみたいに全身を覆っている。
行く手を阻むものはなにもない。
見れば見るほどそう思う。
どんな邪念も悪巧みも付け入る余地なく、世につきまとう困難さえことごとく木っ端微塵に跳ね返されるだろう。
胸のうち宿る未来の種子が憧れとなって彼らを導く。
流れに身を委ねるようにしてごく自然、視線の先へと二人はまっすぐ運ばれていくのだろう。
やがて彼らは自身が何者であったのか、身をもって知ることになる。
父としてせめてそこまでは見届けたい。
長生きしよう、そう思ったので、田中内科クリニックを訪れることにする。