KORANIKATARU

子らに語る時々日記

ありがとう、頑張るよ

いつものとおり弁当の支度がしてある。
毎朝それを手にし仕事に向かうのであるが、この日は弁当の下にリボンのついた小箱が置いてあった。

チョコか何かであろうか。
しかしチョコを食べる習慣はない。
これはわたしに宛てたものではない、瞬時にそう判断し小箱は残し弁当箱だけ携え玄関を出た。

いつにもましてハードな月末の業務を完遂し帰宅したのが午後9時前。
白ワインでの晩酌を終えると家内が当の小箱を無言でわたしに差し出した。

開けてみると財布であった。

いま使う財布も家内から贈られたものであったが、年季が来ていてあちこち傷んでほつれ、見るからに草臥れ果てていた。
それでも愛着あったし、すっかり手に馴染んで何の不便もない。
買い換えようと思うこともなかった。

しかし、二つ並べて見比べると、新旧交代の時期を迎えているのは誰の目にも明らかだった。
旧い方の任を解いてお役御免とするのが人の情けというものだろう。

こうしてリングにタオルを投げ込まれるような形で、財布は刷新されることになった。

長年の相棒であった財布をねぎらい感謝を伝え、今日月初めから新しい財布を愛用することにした。

外国のブランド銘柄だ。
わたしは大阪下町で生まれ育った身、庶民中の庶民である。
舶来物など分不相応で勿体ないとも思うが、贈り物なのだから仕方ない。

財布に負けないよう頑張るつもりだ、ありがとう。