駅を降りて家に向かって歩く。
四つ辻で部活帰りの二男と出くわした。
どうやら同じ電車に乗り合わせていたようだ。
並んで歩く。
上空では宵の明星が煌々と輝いている。
部活の話を聞きつつ、ふと思う。
金星からだと地球はどんな風に見えるのだろう。
二人で少し考える。
外惑星にあたるから満ち欠けはない。
金曜よりも太陽から遠く、金星のように光を反射させる分厚い雲もない。
だから金星ほどは明るくない。
が、光る色には特徴があるはずだ。
大気があるから海や空と同じ色、地球ははるか彼方から見ても鮮やか青く光る星であるに違いない。
二人して青く光る星を頭のなか思い浮かべながら、その上を二人で歩く。
家に戻ると外で食べようとの話になった。
リクエストを募ったところ満場一致で寿司に決定。
大食漢引き連れて値の張る寿司屋はあり得ない。
大起水産あたりが手頃だろうと話がまとまりかけるが、待ったが入る。
週末である。
長蛇の列の最後尾、長時間待たされることは明白だ。
では、どこへと頭を巡らせ、思いついた。
まさに灯台下暗し。
尼崎のキューズモール。
そこに昨年、もりもり寿司が店を出した。
通りかかったことがあったが空いていた。
異議唱える者はなく、わたしの提案で可となった。
ちょうど去年の正月。
家族で金沢を訪れた。
人気店だと勧められ、近江町市場で列に並んで待つこと一時間。
美味しかったという思い出がまだその鮮度を保っている。
そんな名店が近くにできてわたしたちを待っている。
行かないという選択自体があり得ない。
電車を使って家族で出かける。
青く光る星の上を電車が走ってすぐに尼崎。
西宮ガーデンズと異なり尼崎キューズモールの賑わいは至って控え目だ。
待つことなくテーブル席に案内された。
注文は家内の役目。
そうでないと皿が積み重なって青天井となる。
青く光る星の魚は結構うまい。
大いに喜んで食べる家族の姿を眺めつつ、わたしはビールに続いて加賀の国の日本酒を味わった。
とてもいい食事となった。
お腹いっぱい大満足。
青い光に包まれて、家族連れ立ち家路についた。