KORANIKATARU

子らに語る時々日記

久々の奈良葛城、鶴亀の酒席

ここ数年で余剰の人手が払拭し、いまや一種の完全雇用に近い状態が続いている。
だからどこも人手不足で求人広告を出しても思ったような採用が果たせない。

とくに介護系の人手不足は深刻だ。

空振りに終わり続ける求人広告であっても、一縷の希望託しやめてしまう訳にはいかず、しかし、たまに応募があったと思えば、程度の悪い人であったり、すぐに辞めてしまう人であったり、量だけではなく質も低下の一途を辿っているように見える。

ここにきてようやく介護職について外国人技能実習生を受け入れられるよう制度が改正される見通しのようだ。
早ければ今年9月には介護系の実習生第一陣が日本にやってくる。

看護師や介護福祉士候補者については一足早く、インドネシアやフィリピン、ベトナムから人材の受け入れを行っている。

実際にその働きぶりを目にする事業者らの評価は高い。
勤勉であり勉強熱心でありそして誠実だ。

ある事業主は言った。
昭和20年代や30年代の頃の日本人的心根を持っている、そう言えば、彼女らの人柄について分かりやすいだろう。

この言葉からも信頼のほどが窺える。

彼の国では祖父母が老いれば、家族で力を合わせ家で介護するのが当たり前だという。

だから、自分の親なのになんで施設に入れるのか、当初彼女らはそこに違和感を覚えるが、日本の実情を理解して、ならばわたしがとまるで身内になったみたいに老いた方々に敬意を払って真摯に接する。

今回、技能実習生の介護職への拡大は、業界からすれば諸手を挙げて大歓迎という話だろう。

現実的に、我が国のご老人をケアするマンパワーが枯渇している。
その人材の確保は何年も前から喫緊の課題であり続け、ようやくここに到って手が打たれることになった。

来てくれるうちが花であり、良き人々であって日本に貢献してくれるなら受け入れを拒む理由はない。
まだら模様をなしつつも移民的な存在が増えないことにはこの先の日本は立ち行かないのである。

そのような話を伺って、電車で帰途についた。
久々の奈良葛城、鶴亀の酒席であった。

電車で向かい合って座る若手弁護士と途中で別れる。
この後、事務所に戻って仕事なのだという。
独身、男前。
いまは仕事が女房ということだろう。

どんな嫁さんが似合うだろう、そんな大きなお世話なことを思い巡らせつつ、わたしは女房待つ家へと電車を乗り継いだ。