KORANIKATARU

子らに語る時々日記

悪気はなかったのだが、もう取り返しがつかない

運転の合間、一息入れようとコンビニに入った。
ぐるり回って、最上段に所狭しと置かれた納豆ペヤングに目が留まった。

つぶさに見れば納豆ペヤングだけではなかった。
棚の下にはペヤング・ペペロンチーノがありペヤング・わかめMAXという兄弟分も次の出番を待つかのようにずらり並べられていた。

ちょうど息子らが試験期間に入る。

夜食にもってこいであるし、第一、なんだか面白い。
そう思ってペヤングシリーズをカゴにどっさり入れたのだった。

わたしだって学生の頃にはしばしば世話になった。
中年となったいまでこそ口にはしないが、男子であれば誰もが通る道、ペヤング抜きに青春は語れない。

父として良き買物をしたのだとわたしは大満足であった。

それから数日。

わたしが思ったとおり、ペヤングは子らの小腹を埋めるのに役立った。
納豆ペヤングが絶品であったとの喜びの声まで頂戴しわたしも嬉しかった。

ところが、であった。
我が家の農林水産大臣が激怒した。

毎日毎日、子らの健康を考え食材を吟味し、朝昼晩と食事の用意に余念がない。

そんな家内からすれば、わたしの行いは暴挙であった。

子らに献上される一品一品のどさくさに紛れるにしても、ペヤングはあまりにも男性的に過ぎたようだった。

土曜夕刻、帰るに帰れず、憂いに沈む。
国が国ならわたしに命はないだろう。
健全な青少年にペヤング盛った反逆者に、まもなく裁きが下る。