朝、目が覚めて日がな一日仕事だけして、夜、家へと帰る。
そんな単調な日々が続いている。
繰り返されるだけの日常であっても目を凝らせば見どころ満載。
その日ふと目にし心に残った場面を日記に記す。
書き留めなければたちまち忘れ去られ「なかった」ことになってしまうような何かを両手で掬い上げるようなものである。
文字数は僅かだが、だからこの1ページ1ページが貴重なアルバムみたいなものになっていく。
ヘトヘトになって帰宅しこの夜も耳つぼマッサを所望した。
全力投球が過ぎ風呂に寄ってもまだカラダの芯に疲れが残っている。
ほんとうに不思議なのだが、耳つぼ押されるだけで胃が快活に動き出し、詰まった鼻もスッキリ通る。
逆に瞼は重くなる。
リビングで横になって家内から施術受けるわたしの前を長男が通り過ぎ、二男が通り過ぎる。
家には子らがいて子らが生活しており、だから動きがあって、彼らは四六時中、上へ下へと何やか忙しい。
いまは未熟な未完成品である彼らも若気の青い時代をいつか終え、頼もしい男になっていくのだろう。
彼らの様子をぼんやり眺めながら不思議の感に捉われた。
何をどう考えようと、いま目にしているのが自分の息子で、いま自分がこうしているのが不思議としか言いようがない。
静かな夜。
時折、風が強く吹いて木々の葉を鳴らす。
一層、静けさが深まっていく。
家が一番。
いつしか意識薄れて眠りに落ちて、この夜もまた平穏な無に包まれた。
The Unbearable Lightness of Being (Milan Kundera) directed by Philip Kaufman.