KORANIKATARU

子らに語る時々日記

息子の夢はわたしの夢

仕事が長引いたのでひとり夕飯を済ませて帰ることにした。
特に頭に浮かぶ店もなかったので、帰り道にある回転寿司に入った。

その昔、たまに通ったようなチェーン店である。
いまや子とも家内とも来ることはないが、わたし自身はどちらかと言えば嫌いではない。

いろんな寿司がよりどりみどり。
それだけでわたしにすれば胸躍るようなことである。

店は混み合っていた。
家族連れがいて熟年夫婦の姿があって若いカップルもちらほら見えた。

そんな日曜団欒の輪に混ざり、ひとりぽつんと寿司をつまんでビールで喉を潤す。
今週は一切酒席のない平日を過ごした。
だから週末くらいはいいだろう。

ぼんやりくつろぎ、自らをねぎらってゆっくり過ごす。
一人で食事するのも悪くない。

と、携帯が鳴った。
日曜の夜である。
不吉な予感が走って慌てて手に取るが、何のことはない長男からの電話であった。

一つ屋根の下に暮らすが、たまにちょくちょく電話で話す。
帰りの遅いわたしに業を煮やし電話してきたのだろう。

こうして思いがけずわたしにも団欒が訪れた。

回転寿司のレーンを囲むように円く席が並ぶ。
そのうちの一人が何をどうしてようが誰も気にしない。

わたしは携帯を耳にあて息子の話に聞き入りながら、寿司を食べビールを飲んだ。

もちろん迷惑にならぬよう発話は最小限に留めた。
長男からすれば要は話を聞いてもらえればいいのであって、わたしが言葉少なであっても会話は成り立った。

息子の夢はわたしの夢。
家族の数だけ夢があって、それに向かって助け合って力を合わせる。
心躍ることである。

しかと聞き届けた一場面。
それを日記に書き留める。

見事成就の暁に、この日の会話をしみじみ振り返ることになる。
それはそう遠くない日のことであるように思える。