上海では買い物も楽しんだ。
もはや安かろう悪かろうの国ではない。
世界の工場として機能したかつての裏方役は、経験値を高めモノづくりにおいて自身の付加価値を看板にできる域にまで到達した。
歴史にその価値を裏打ちされた伝統工芸品だけだなく、いまやあらゆる場面のアウトプットにおいて一目置くべき存在となった、そういっても過言ではないだろう。
上海の目抜き通りに老舗の刃物専門店があった。
料理に関心あるならここに取り揃えられる各種包丁や料理バサミは見逃せない。
小物として爪切りもあってそれも買ったが、この切れ味の快適なことには驚いた。
創業400年に至ろうとする時間の厚みが刃先に凝縮されているようであって恐れ入った。
目抜き通りにはNIKEやAdidasといった定番ブランドの店が並んでいたが、肩並べるようにANTAというスポーツブランドのショップがあった。
見慣れないので調べると中国のスポーツウェア・ブランドであった。
物珍しくて夫婦揃ってウェアを買ったのであるが、質感、フィット感、シルエット、デザイン、快適さ、どれもこれも申し分なかった。
ネットでANTAのホームページを見て、そのコーポレート・スローガンに目が釘付けになった。
永不止歩 "KEEP MOVING"
何かの啓示のようにも響いて胸に沁み込んでいく。
今回の旅行で得たものを一言にするならこの語に集約されるようにも思える。
やすやすと負ける訳にはいかない。
唱えれば、そんなガッツのようなものが湧いて出てくる。