夜9時を回っての夕飯は野菜三昧。
この日、仕事の用事で家内に京都と奈良を回ってもらった。
家内が言うには京都も奈良も野菜が特筆美味なのだという。
由緒正しい古都由来の野菜である。
そう言い聞かせ風雅気取って箸を運ぶが汲めども尽きない。
野菜と向き合いつつ目を盗み、子のために支度してあった肉片をひとかけら摘んで咀嚼し味わう。
味覚がわたし自身の粗野な素性を物語るのだと身にしみた。
週末をどう過ごそうか。
その予定について家内と話し合う。
既に予定はあらかた決っていてわたしはそれに合わせて付き従うだけのこと。
せっかくだから近江牛でも食べよう。
是が非でもとの熱情はひた隠し、素っ気ないふうにわたしはそれだけを提案した。