KORANIKATARU

子らに語る時々日記

些細な光景の方が長く思い出に残る

雨が上がり晴れ間が差してきた。

助手席に家内を乗せクルマを走らせる。

 

西宮から高速に入る前、ゆげ焙煎所に寄ってコーヒーを2つ調達。

お茶しながらのドライブとなった。

 

目的地は播州龍野にある道の駅御津。

所要時間は2時間ほど、昼過ぎには到着した。

 

殻付き牡蠣の販売が18日に解禁されたばかり。

旬にはまだ早いが、牡蠣を頭に浮かべれば気長に待てるものでもない。

 

海の見えるレストランで順番待ち。

5組ほど前に並ぶので先に買物を済ませることにした。

 

長男と二男。

家内は二人の専属料理人。

道の駅は恰好の食材の仕入れ場である。

 

殻付き牡蠣をはじめとし味噌、新米、たまご、野菜、果物などその地の名産を次々カゴに入れていく。

どさっり買って、これで一週間はもつと家内は満足気。

 

ちょうどクルマに積み込み終えたとき、レストランの順番が回ってきた。

午後の陽光を一面に受け瀬戸内の海に光が跳ねて眩しく、真向かいには家島諸島が見える。

 

まもなく牡蠣づくし御膳が運ばれてきた。

殻焼、フライ、土手鍋、茶碗蒸、味噌汁、佃煮、エトセトラ、牡蠣が様々な衣装をまとって我々の前に姿を現した。

一品一品味わって食べるが、当地で食べるからだろう格段に美味しい。

 

そして締めは穴子柔麺。

二人で分けた。

 

腹ごなしに歩こうとなって、道の駅を後にし龍野中心街に向かう。

龍野城跡近くにクルマを停め、町屋風情の通りを家内と歩く。

 

西陽を受けた紅葉が青空に映え、町の美しさが一段と際立つ。

とても気持ちのいい散策となった。

 

夕刻になり龍野の地を引き上げることにしたが、たまたま、霞亭の前を通りかかった。

柔麺の名店である。

 

お腹が減っていたわけでもないのにせっかくなのでと中に入った。

二人して食べ過ぎ。

外出すればいつもこうなる。

 

日の落ちた城下の町もまた乙で、古式ゆかしい町並みが薄明かりのなか浮かんで、日常とは別個の小世界に迷い込んだかのような感にとらわれた。

 

さすが播磨の小京都と呼ばれるだけのことはある。

 

駐車場の近くに醤油の自販機があって小銭を投入し醤油を二人で選んだ。

キラキラ光る瀬戸内の海や町を覆い尽くすかのような紅葉よりも、こんな些細な光景の方が長く思い出に残るのだろう。

 

帰りは家内が運転してくれる。

揖保川の清流沿いをつたって帰途につく。

 

夜の高速、この日、家内はいつにも増して上機嫌。

話す語数は2万語どころでは済まなかった。

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2017年11月23日 播州龍野