KORANIKATARU

子らに語る時々日記

不変の話し相手

久宝寺でたまたまわたしの前の席が空いたので、ありがたく着席させてもらうことにした。

 

ややこしい客先から着信があったので携帯を取り出しメールをみるが、これは読まぬ方がいいと判断し携帯を懐に戻した。

 

作用があるから反作用が生じる。

反作用を封じるには黙って目を閉じるに限る。

 

大和路快速が環状線に入る。

木津川、尻無川、安治川という淀川から分岐した流れを電車が順々にまたぎ越していく。

 

水の都大阪の名残り。

渡船場が幾つも残るこの界隈には独特の雰囲気があって、街の灯に川面照らされる夜はひときわ趣き深い。

 

窓の向こうに目をやりながら、ぼんやりと考える。

誰にも話せないような事柄が胸に巣食っていたたまれないようなとき人はどうするのだろう。

 

信仰心あつければ、神様が話し相手になるのだろう。

では信心足りぬ不心得者は一体誰を相手に話すことになるのだろうか。

黙して堪え、しかしついには誰か信頼のおける人間にその胸の内を明かすことになるのだろう。

 

事務所に寄って残りの仕事を片付ける。

 

近所の銭湯で汗を流すと夜9時を過ぎた。

女房が留守なのでここから腹ごしらえ。

 

迷ったときは餃子の王将の一択となる。

松屋、松屋、餃子の王将というラインナップの日となって、まるで下宿生活送る学生みたいであるが致し方ない。

 

熱々の餃子とビールの組み合わせが一日の疲労を一掃してくれる。

上機嫌となって気持ちほぐれて、わたしにも不変の話し相手が存在しているのだと不意に気づいた。

 

毎日、子らを思い浮かべて日記を書いている。

誰だって、話し相手は不可欠。

日記書き続ける月日を振り返り、わたしはこれで心の平穏を保っているのだと心底から理解できた。