子どもさんの話になった。
事業主夫妻にはすでに嫁いだ娘さんが二人いるとのことだった。
教育には力を入れた。
中学受験をさせ二人とも同じ中学に入り、大学もそれぞれ一流と呼ばれるところに進んだ。
だから縁があった。
勉強させたおかげでいい出会いに恵まれた。
子宝にも恵まれたので、最近は孫のためのおもちゃ選びが楽しい。
事業主はそう語り事業主の奥さんはそうそうと頷いた。
上の娘さんのお相手は若きベンチャー創業者。
医療系の事業を立ち上げいまやその業界では知らぬ人のない人物である。
一方、下の娘さんの伴侶はIT事業者でありこちらの事業も手広く、その実家はちょっと名の知れた大地主でもある。
そして揃いも揃って娘婿二人が好人物。
男前で気っ風よく、娘婿どうしも仲がいい。
だから父の日、母の日、誕生日をはじめ、何かあれば娘婿二人してゴルフやクルージングや温泉旅行など企画し事業主夫妻を招待してくれる。
それだけでなく先方の家族も皆いいひとばかり。
しょっちゅう食事に誘ってくれるし、贈り物などの心くばりが絶えずとてもよくしてくれる。
話を聞きつつ想像する。
もしわたしに娘が二人いたとして、二人ともがそんな好男子に巡り会えたなら言うことなしである。
嬉しくて仕方なく、伝え聞く娘婿二人の様子を毎日日記に書くことになるだろう。
世には、皆が仲良く円満で良縁が良縁を呼ぶ好循環の家庭もあれば、その逆もある。
好循環にはおそらく呆気ないほど単純な誘因があるのだろう。
事業主夫妻を見ていてそう思う。
とても人柄よく周囲に愛され、それに負けないくらい周囲に良くしようと日夜笑顔で精進し続けている。
もちろんいまや大金持ちだが、飾らない雰囲気があって信頼おける。
運はこのような場所を好んで選んで塊になって降ってくるのではないだろうか。
うちには息子が二人。
誰かの幸せに貢献できる好人物であってほしいと願うが、そうであるためには独力では難しく、好人物であるという相手側の力も必要なのだろう。
嫁に押されっぱなしであれば青息吐息、好人物どころの話ではない。
呼応し合ってこその好循環。
事業主夫妻が好男子の娘婿二人に恵まれたのは、事業主夫妻が好人物であったから。
おそらく良縁の背景にはそのような呼応の関係が先行しているのだろう。
親が良き人であることは、子らにとっても良きこと。
事業主夫妻の話からそう学んだ。