この夜もヘルシーなメニューが並んだ。
山芋納豆、おから、豆腐、焼き魚。
メインは揚げたての春巻き。
チーズとエビが入って青じそが味を引き立てる。
サントリーオールドで作ったハイボールを飲みながら家内とともに思い出話にふけっていると、まもなく上の息子が帰ってきた。
素麺を食べたいと息子が言うので家内がすぐさま支度を始めた。
出来上がるのを待つ間、自家製フライドポテトをつまみつつ、日頃の学校生活について彼が話して、わたしたちはそれに耳を傾ける。
学校を終えての帰途、誰と一緒に帰るのか、そんな話を聞くだけで楽しい。
子が友だちと連れ立つ様子を思い浮かべそれでじんとくる。
感傷を糧に生きるわたしにとって栄養満点な素材と言えた。
あっという間に素麺は吸い上げられ跡形もなくなり、デザートのスイカも木っ端微塵に噛み砕かれた。
長男が立ち去って間をおかず、今度は二男が帰ってきた。
天神祭の影響で帰り道がたいへんな混み具合だった。
明日は別ルート使って迂回する。
そんな話を聞きつつわたしはハイボールをお代わりしトルティーヤチップスの封を開けた。
家内は二男が所望した盛岡冷麺をこしらえている。
添えられるのは彼の好物、はちやの餃子。
上の息子もよく食べるが下の息子はもっと食べる。
小さい頃から大人なみに食べていまはそれ以上、野獣怪獣の類と言えた。
作る方はたいへんなはずだがそれが喜びであるようだ。
ずっとキッチンに立ったままあれやこれや作って息つく暇ない家内がとても楽しげに見える。
暮らしの基本とも言えるものがここにしかと存在している。
そう実感しつつ、わたしがいま目にしている光景をこそ幸福というのだろうと思った。