前夜、寄り道して回転寿司でひとり夕飯を済ませた。
今夜はエスケープさせまいとメールが届いた。
家で食べるように。
それで風呂を済ませてそのまま家路についた。
が、日中の余熱が路上に覆いかぶさったままであり電車も混み合い、湯上がりのすべすべ肌は台無し。
結局、家でシャワーし直すことになった。
水が気持ちいい。
素朴単純に気持ち良く、悦楽の声をあげ水をわんさか浴びた。
食卓ではプレミヤモルツが2本ついての晩酌セットが待っていた。
メインはゴーヤチャンプル。
そこに豆腐やら納豆やらが添えられる。
月イチで来てくれる掃除屋さんの話になった。
暑いせいだろうか、少し愚痴をこぼしていったという。
ほとんどすべての客先で大事に扱われるが、たまにはっきりと掃除屋を下に見て、心ない言葉を浴びせる人がいる。
相手を下げれば下げるほど自分の地位があがったように感じられて気分がいい。
そんな類の人間が現実に存在する。
不快であり多少なりとも傷つくが、しかし、こらえる。
仕事は掃除屋。
それで相手の気持ちもすっきりするならそれも立派に仕事のうちであり、仕事なのだから平静を保つのが当たり前と言えた。
なるほど見習うべき心がけだとわたしは家内に感想を述べながら、ハイボールをお代りする。
何を養分にして自尊心を保つか。
人それぞれであるにしても人は食わない方がいいだろう。
その種の人は日常的に生贄を必要とし、あちこちでぐさり誰かを傷つけたり蔑んだりしているはずである。
しかし、返す刀で悪意に包囲され、知らぬうち立場を危うくしているだけだろうから、養分摂取の方法としては不適切極まりない。
生きていれば思いがけず肩がぶつかったり足を踏んづけたりすることがある。
仕方ない部分はあるにしても、自分の振る舞いや言動が誰かの気持ちを害していないか折々点検することは不可欠だろう。
やはり行き着くところは謙虚な姿勢。
謙虚が一番。
そう家内と意見が一致した。