大学1年の夏、北海道を旅した。
盆を過ぎた途端、車窓から入る風が急にひんやりと感じられ、夕暮れ時には寒気を覚えるほどだった。
その気温の急変が今も強く記憶に残っている。
昨日、これまでの暑さが一気に和らぎ当時の旅を思い出すことになった。
夜、フル稼働だった冷房が不要になったどころか、窓を閉めなければ寒くて眠れなかった。
今日も引き続き、この夏の異常な暑さが影を潜めている。
街を責め苛んだ災禍が終焉を迎えたかのよう。
秋の清涼がいたるところに香って歩くだけで気持ちいい。
春夏秋冬、どれも素晴らしいが秋は格別。
8月が終わればこの一年も終盤で、あとは雪崩打ったように時が過ぎ去り、気づけば新しい年に差し掛かるということになる。
急激な気温の冷え込みが最終コーナーを回ったことを告げる合図に思えてくる。
ところで、ここ数ヶ月、家事や数々の用事の合間を縫って真面目に勉強に取り組んできた家内であったが、吉報が届いて何よりであった。
決して生易しい試験ではなく専門性要する高度な内容であったので、その成果は讃えられて然るべきものだろう。
不思議なもので空気が冷えると記憶が鮮明になる。
この吉報については喜ばしさの鮮度そのまま、明瞭に心に留まるように思える。
空気がひんやりとするたびに、この感触を思い出すことになるのだろう。
それが具体的にいつのことだったのか。
忘れぬよう日記に書き留めておくことにする。