福島郵便局の裏に風呂屋を見つけ、湯に入ってから帰宅することにした。
早い時間帯なのに混み合っていた。
お年寄りの姿が目立つ。
若者らしくわたしは烏の行水で湯を上がった。
外に出ると涼しくて気持ちがいい。
ひんやりとした空気が秋の到来を告げていた。
家に着いたのは夕刻。
ちょうど家内が買物に出ようとするところだった。
手に携えていた白ワインを冷蔵庫に入れ、わたしは家内伴ってもと来た道を引き返した。
食事でもしようと駅前の店を幾つかのぞく。
がどこも決め手に欠けて決めきれない。
結局、商店街の鳥よしで焼鳥やら子らの弁当のおかずを買って、家に戻ることにした。
通りに吹く風が清涼で街が透明度を増しているように感じられた。
いい街である。
そう思って口にすると、家内も深く頷いた。
リビングで夫婦横並び。
焼鳥つまんでワイングラスを傾けた。
山側の窓から入る風が冷たいが、緑の香をふんだんに含んでいて心洗われる。
いまがちょうど季節の変わり目。
ここを境に時間は急ぎ足で過ぎ去って、気づけばこの一年も終盤ということになる。
初秋の風を味わいつつそんな話をし、わたしたちは子らの帰りを待った。