なんで涙ぐんだかと言うと、息子の結婚式のことを想像してしまったからである。
秋好天の日曜大安、インターコンチネンタルで若き事業主の結婚式があって招かれた。
昼からお酒。
宴会の末席にて料理楽しみ大いに飲もうと気楽に臨んだ。
が、生まれ持っての泣き上戸。
何年先のことか定かではないが、いつか息子も嫁をもらって式を挙げる。
そんなことを考え出すと、その予行演習が行われているような気になって眼前のシーンが未来のそれと重なり合わさる。
それで涙腺が緩むことになった。
わたしは30歳となって一週間後には所帯を持った。
遅い方ではないが、もっと早くでもよかった。
つくづくそう思う。
例えば25くらいで家内と結婚していれば、いろんなことがもっと早くに良くなって、息子はそろそろ大学を卒業し、家族でもっと楽しめ、もしかしたらあと一人くらい息子がいたかもしれず、そう思うといい事ずくめ。
ネガティブな要素など微塵も浮かばない。
だから、子には言う。
さっさと結婚するのがいい。
当初は経済力がついてこずあれこれたいへんだろうが、急勾配は若く体力あるうちに登りきるに限る。
そうすれば、あとのことは大抵がなだらかに感じられるはずである。
肝心のお相手探しも難しくない。
父として断言するが、真面目であれば誰でもいい。
猪木も言った、真面目であれば何でもできる。
その昔、日記にも書いたとおり。
『うつむいた結婚式』 。
結婚というのは、くっついたり離れたりといった恋愛ごっことは大違い、一個の生涯を越えて永続する。
途方も無いほど長丁場なので真面目という資質が大きくものを言い、それがなければ何を成そうがぶち壊しということになりかねない。
話はいたって単純明快。
良き伴侶を得ての人生本番スタートの晴れ舞台。
その日わたしはうっすら涙目では済まないかもしれない。