著者の小川大介さんは大阪星光36期、京大法学部卒。
星光の懇親会でお目にかかって話をし、その明快な弁舌に惹かれ著作を買った。
タイトルは『親も子もハッピーになる最強の子育て』。
読み進むうち、仕事術のエッセンスが詰まった本だと感じた。
大人向けとしても通用し得る。
日々仕事に邁進しそれを難なく涼しげこなす大人なら皆が皆、ここに書かれたメソッドの核を内面化しているはずである。
大人にとって有用なシステムを、子どもにも伝わるよう噛み砕き共有しようという方向性は正しいはずで、だから内容は説得力に富み、結果、実のある成果が産まれるのも当然だろうと思えた。
海千山千の大人でも闇雲に仕事に掴みかかっては、弾き返されるのが落ちである。
第一、闇雲に没頭する以前に、誰だって人の子、課された義務を前にすれば重苦しような忌避感が先に来る。
忌避感を取り除くには、対象を分解し、プロセスを描き、取り掛かる時間と順番を決めるという儀式が不可欠となる。
仕事人なら誰だってその作法に則って仕事に着手しているはずで、そのとっかかりさえスムーズに運べば問題の大半は解決したも同然と知っている。
そのシステムを子育てに導入する点で本書は画期的であると言え、コロンブスの卵の例を持ち出さずにはいられない。
不確かでいい加減な話をさも最もらしくご開陳するそこら凡百の育児書とは比較にならず、はるかに役立つ内容と言えるだろう。
子が主体的に課題に取り組み問題解決できるようになれば、あとは見守るだけでいい。
子育ての最重要部に正面から向き合って抽出された36のメソッドは子にとって生涯の武器となる。