同じ古都であっても京都より奈良の方が心落ち着く。
静けさに満ちて雨の日は尚更。
朝の9時。
普段よりもゆっくり目の時間に家内とともに朝食をとる。
興福寺の五重塔が雨にけぶって趣きを増し、時間が後景へと退いていく。
そこに身を置くだけで満ち足りた。
存分にその空間を味わって、おのずと次の行動について夫婦で意見が一致した。
春日大社で手を合わせてから奈良を発とう。
クルマで5分。
外国人観光客で賑わう雨の参道を人混み縫って進み二人並んで本殿で手を合わせた。
他に用事はないのでそのまま駐車場に取って返し、次なる行動についても自然な流れで意見が一致した。
向かうは法隆寺にある産直市場めぐみの郷。
散々美味しいものを食べた挙げ句、奈良の地の食材を買わずして帰るわけにはいかなかった。
南に下って西に折れて30分。
夕飯の鍋に投入する豚肉をこんなに食べるのかという分量買い込み、野菜と果物と卵だけでもダンボールいっぱい二箱分となった。
ついでに家の玄関に置くための花もレジに運んだ。
大阪に向け走り出す頃には雨があがり、家に近づくほど空が晴れ渡っていった。
午後早い時間の帰宅となって、開口一番、同意見。
家がいちばん。
まもなく二男が戻り、そして長男が戻った。
久々、家族そろって一つの鍋を囲んだ。
京都もいいし奈良もいいがやはりお家がいちばんいい。