陽気に恵まれた春分の日、仕事を終えジムで走り風呂を済ませて帰宅した。
リビングに上がるとソファに長男が寝転んでいて驚いた。
受験期の夕方、ソファでくつろぐ長男の姿など目にしたことはない。
大学に受かってこそ微笑ましく、もし浪人であればその景色を目にした途端気分一気に急降下していただろう。
家内手製の生ハムサラダと麻婆豆腐をあてに復刻版タカラ缶チューハイを飲む。
東京で会員になる予定のスポーツジムの話を長男がしてきたのでその流れで走るときの映像の話になりKーPOPの話になりTwiceの話になった。
彼らが好き好んでTwice、Twiceと絶賛する理由がそのコンテンツに触れわたしにも分かるようになった。
こんなに平和で明るく楽しい気分にしてくれるなど稀有な存在。
世界規模で多くの人の心を和ませ癒して救っていると思えば世紀のスーパーアイドルと言って差し支えないだろう。
バカじゃないかという長男の呆れ果てた目に構うことなくわたしは続けた。
映画になればQueenを超え得る。
そのときは家族で観に行こう。
このように長男がくつろいで過ごすのもあと数日のこと。
週末には高校時代の友人らと第二弾の卒業旅行に赴き、時を置かず東京での新生活に臨むことになる。
二男は既に春休みを満喫し従兄弟と連れ立って高校生の分際で異国の地ソウルを周遊中で、帰国後はすぐに部活合宿に合流しそれが終われば友だちと年貢の納め時の旅に出て、心機一転、受験勉強にぼちぼち本腰を入れるということになる。
家内は家内で相変わらず引く手あまたであちこち出かけ、わたしは今日も明日も明後日も仕事に明け暮れる。
家族揃って地味に静かに忙しい。
このじんわり来るような賑やかさがたまらない。